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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
「銀幕の花嫁」と呼ばれた女優の一代記「流転の薔薇」
流転の薔薇


木下千鶴は昭和9年にデビューし、清純派女優として戦中・戦後を通じて一世を風靡。
舞台女優としても安定した人気を得ていた。

東京で生まれ、川沿いの三業地で育った千鶴は、
9歳で突然地方の地主である父親の家に引き取られる。
そこには腹違いの2人の兄、同じ歳の妹、幼い弟が。

数年後、女優の卵として再び東京に戻るまでの数年間を一緒に過ごしただけのこの4人が、
その後さまざまな形で千鶴の人生に覆いかぶさってくることになる。


千鶴の女優としての歩みは順風満帆だが、華やかで清純な顔の裏側は過酷だ。
多くの男たちを踏み台にしながら自らの手で道を切り開き、
酒びたりの母、没落した兄弟一家、結核を病む夫と一人息子らの生活を
一身に背負い込んで、女優人生を走り続ける。

この関係、「兄弟」で描かれたなかにし礼とお兄さんに似ている。
違いは礼の兄にあたる人間が千鶴には次々に現れることだ。

その中で、一番重たいのが妹の鈴子。
地主のお嬢様として何不自由なく育ち、腹違いの千鶴を温かく迎てくれた、
千鶴にとっても特別の存在だ。

千鶴が去ってからも、2人の文通を続く。
やがて鈴子は結核を発症して自宅での療養生活に。
90歳を過ぎて亡くなるまで2人は直接会うことはない。

鈴子は大量の千鶴に関する記事のスクラップブックを残して孤独死するのだが、
千鶴に対するあこがれと嫉妬心だけを生きるエネルギーとして、
ひたすら貯めこんだ鈴子の人生を思うと背中がぞくぞくする。

とんでもなくつらいことも多く、実人生は決して清純派ではなかった千鶴だが、
普通の人にはできない経験を積み、演じる歓び、恋愛、子どもへの愛情など、
プラスの感情もたくさん味わった。

それにひきかえ、一生を地方の古い家の離れで過ごし、
千鶴という窓を通してしか人生を感じ得なかった鈴子。
空っぽな一生は苦労の多い人生よりずっとずっと哀しい。

流転した薔薇は千鶴であり、表紙の薔薇は千鶴の象徴だろう。
だが、それに絡まる青い薔薇は鈴子だ。
流転もできなかった鈴子の人生をせめて青い薔薇で悼みたい。

作者の加藤元さんは昨年小説現代長編新人賞を受賞した方。
お名前は「げん」と読みますが、女性です。
また、要チェックの女性作家の誕生で、実りの秋(早く来て!)の予感です。


流転の薔薇流転の薔薇
(2010/07/16)
加藤 元

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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