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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『すべての見えない光』

クレストブックスです。

ベストです。

今年のベストなんて半端なモンじゃないです。
10年に1度の本です。
わたくしの人生ベスト10本入りです。

作者のアンソニー・ドーアさんは70年代生まれの米国人男性作家なんですが、小説の舞台は第二次世界大戦中のヨーロッパ。遠く離れたところで生まれ育ち、それぞれの人生を歩むドイツ人の少年とフランス人の少女が主人公なのです。

少年は妹と二人、親のない子どもたちの施設で育ったものの、類まれな頭脳を持ったがために上の学校に進むことになり、年を偽って若き兵士として特殊な任務にあたる。
少女は幼くして盲目となり、博物館に勤める父とともに戦火を逃れて故郷を離れ、資産家の叔父の家に身を寄せる。

成長期を戦時下で過ごし、さまざまな不条理と不可抗力の中で少年と少女はひたむきに生きていきます。
そして、ある運命的なできごとから、見知らぬ同士であった二人が束の間の出会いを果たす。

と書くと、なんだかもうセンチメンタルで安っぽい話かと思うでしょうが、それは私の力量の問題。
すべて現在形で語られるこの物語は、その文章も淡々として美しく、一つひとつの情景描写が、読者の想像力を補ってあまりあるもので、自然の美しさも、歴史ある街の造形も、戦火が何もかも焼き尽くす悲惨さも、蝕まれる人の心もその表情も、巨匠の映画のようにありありと目の前に静かに広がっていくのです。

ドイツとフランスの二つの幼い人生が、時代を行き来しながら描かれる、その手の小説って、時々ページを行ったり来たりしないとこんがらがっちゃうことが増えた昨今のわたくしの鶏のアタマでも、まったく何の混乱もなく、するりと話の中に引き込まれて、登場するありとあらゆる人々の思いが胸に迫ってきます。

主役の二人を描きながら、この人は、あの苦しい時代の世界のすべてを描いている、そこにいる人々の気持ちが今ここにあるもののように生気をもって伝わってくる。
ああもう、読み終わるのが本当にもったいない、と思いながら、1ページ1ページを味わいながら読んだ本でした。

二人が出会ったサン・マロというフランスの街は、大戦の終焉にして8割方が焼かれたそう。しかし、遺された記録を生かして、街は昔どおりの面影を持って再建されたのだそうです。
画像を検索すると、ぎっしりと古い建造物が建ち並ぶその姿は、確かにこの物語の舞台としてふさわしい様相を呈しているのでした。

とにかく素晴らしい本です。素晴らしい作家です。
この1冊で、今年の読書は有意義なものとなりました。
アンソニーさんの他の小説もぜひ読もうと思います。

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

コメント
よかった(ため息)。
ゆっくりとじっくりと読みました。
美しくて、緻密で、哀しくて、温かい物語でした。
藤井光さんの訳も素晴らしいと思いました。

戦争を知っている日本人が少なくなると心配していましたが、
それはドイツ人もフランス人もロシア人も同じなんだ。
ヨーロッパの人々にとっての第二次世界大戦について
もっと知らなくちゃね、と思いました。

わたしにとっても、今年の収穫と言える1冊です。

[2016/11/21 15:18] URL | jefy #a7oJ0Vfo [ 編集 ]


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