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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『夜を乗り越える』


『火花』で芥川賞を受賞した後の、
又吉さんのエッセイです。

タイトルからいきなり本筋に入っちゃいますと、
「夜を乗り越える」とは、

 
太宰治が命を絶った、最後のその夜を
どうか乗り越えてほしかった、という思いの表れです。

そこに凝縮される又吉さんの本への熱情は、自分自身が
迷い苦しみながら年齢を重ねていく、その人生の途上で
文学は常にその答えを示し、心の支えとなってきたというもの。

本は何度でも読み返すたびに、新しい発見を与えてくれる。
又吉さんは、熱心な読み手として、太宰、芥川をはじめとする
日本の近代・現代文学の魅力を、自分の半生とともに語ります。

『第二図書係補佐』とカブる?と思われるかもしれませんが
こちらは本を読むことの根源的な欲求について真っ向から向き合い、
深く深く踏み込んだ内容となっています。

『火花』を読んだとき、私はこれまでにない新しい時代の純文学だと
新鮮な驚きを持ったのでしたが、その理由がしだいに分かってきました。

彼は80-90年代を子どもとして過ごした、つまり、我々世代からすると
「今の若い人」なんですが、思春期の悩みの答えを純文学に求めるという、
昭和なスタイルの読書活動をストレートに実行した人なんです。

前時代の人間とは生活背景がまるで違うのに、おそらく同世代の中では
ほとんど顧みられなくなった読書スタイルを、気取ったり
カッコつけたりするワケじゃなく、ピュアに取り入れてた人なんです。

いわゆる「純文学かぶれ」というのとは違って、
それが融合して彼の中で消化され、新しいスタイルの純文学として
生まれてきたものなんだろうなあ、と感じ入りました。

しかし又吉さんは、自著の『火花』について、もっと登場人物の考え方がどうとか
小説そのものについての論議が起こることを期待していたけど、
結果から言うとそうではなかった。「文化人きどりの芸人」とされた。

「僕は新時代の先頭ではなく、残念ながら前時代の最後方なのかもしれません」
それは、自分の作品の力不足であるといいます。

いやいや、そうではないと思います。
ブームとしては大きすぎたけど、『火花』は今の文学界に一石を投じ、
今の世の若い人たちが直面する悩みや苦しさを、新しい形で
文学に結び付けていくきっかけを生んだ作品だと思います。

読み手としてだけではなく、書き手としてのスタンスも伝わるこのエッセイに、
「読むとはどういうことか」 「書くとはどういうことか」
という本質的な問題を付きつけられた気がして、はっと目が覚める気がしました。

偶然だけど、読書会の課題本『やんごとなき読者』を並読してて、
これがまた、本の面白さに目覚めた女王陛下が
読み手から書き手になりゆく、「本の魅力とは何か」を
根本的に考えさせるお話だったので、グッドタイミングではありました。

乱読・雑読を重ねるばかりの我が身、姿勢を正します。


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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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