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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
永六輔・大石芳野 『レンズとマイク』(藤原書店)


書名の「レンズ」が写真家の大石芳野さんを示し、「マイク」がラジオタレントの永六輔さんを指し示すことは誰でもわかるでしょう。本書は、2013年から2014年にかけて行われた二人の対談を再構成し、一冊の本にまとめたものです。


大石さんと永さんの付き合いは長く、1970年台前半に、大石さんが永さんの日常を追いかける形で写真を撮りためていた時期がありました。とにかく1年365日のほとんどを旅に出ている永さんだったので、大石さんは大変だったようです。永さんはぼくの高校の先輩でもあり、当時、永さんの本や出演するラジオ番組、あるいは旗振り役の市民運動などから影響を受けていた僕は、大石さんの永さん写真展にも行きましたし、その写真をふんだんに掲載した『六輔その世界』(1972年)も『僕のいる絵葉書』(1975年)も購入しました。実際、永さんが写っている地にも足を運びました。

今回、『レンズとマイク』を読んで、先の両書に掲載されていた若い日の永さんの写真が何枚も再掲載されているのを見て、ものすごく懐かしく思いました。誰もが歳を取り、病気に罹ってしまうのだから、晩年の永さんの車椅子姿はしかたがないのだけれど、今から40年以上前のハツラツとした永さんの姿からは、自由な旅人の風貌と、江戸っ子ってこういう人なんだな、と思わせるいなせできっぷの良さを感じてしまいます。

そう、永さんは、ずっと僕の憧れの人でした。

永さん出演のテレビ番組「遠くへ行きたい」に憧れ、生まれて初めての一人旅で、厳冬の大間崎からむつ市、弘前を訪ねたのは高校3年生になる前の冬休み。以来、今日まで永さん作詞の番組テーマ曲「遠くへ行きたい」は、ずっとぼくのテーマソングになっています。今の会社に入る際の面接で、「君が影響を受けた歴史家は誰ですか?」と質問された際も、平凡な答えではインパクトに欠けると即座に判断、「厳密な意味で歴史家とは言えないかも知れませんが、小松左京と永六輔です」と答えました。「ほう、それは何故?」。当然予期した問いかけに、「小松左京からは、人類とか宇宙とかのマクロの視点から歴史を考える方法を学び、永六輔からは、市井の人々に焦点を当てて歴史をとらえるミクロの視点を学びました」と応じ、面接官の度肝を抜いた思い出があります。

永さんを追いかける日々は社会人になってから一段と拍車がかかり、月に一度、上野本牧亭で行われていた、雑誌『話の特集』メンバー総出演のイベント、「政治寄席」(のち「地球寄席」)にも足を運ぶようになりました。あるとき、永さんがこんな話をしてくれました。ちょうど永さんと野坂昭如、小沢昭一の三人が「中年御三家」と呼ばれていた頃です。

「昔、イギリスの炭鉱夫たちは鳥かごにカナリアを入れて坑道に連れて行った。カナリアはわずかなガス漏れにも敏感に感じ、死んでしまう。さえずっていたカナリアがおとなしくなってくるのは、ガス漏れなどの異常を感じた証拠。ぼくたち三人は時代のカナリアだ。ワイワイ騒いでいる間は大丈夫だけど、ぼくたちが言いたいことを言えなくなったり、やりたいことをやれなくなったときは、時代がおかしくなってきたと感じてほしい」

東日本大震災と福島第一原発事故の被害者たちに自然体で向きあい、不自由な身体で講演会やボランティア活動を続けていた永さん…。滑舌良いしゃべりができなくなってなお、ラジオから語り続けていた永さん…。盟友の小沢さんも野坂さんも、巨泉さんも亡くなってしまいましたよ。ワイワイ騒いでいた「時代のカナリア」は、もう誰も残っていません。死んでいく邪魔者の数を指折り数えながら、また一人うるさいのがいなくなったとほくそ笑んでいる人たちの影が、確実にぼくたちの日々を覆っていきます。

来週30日に、永さんが愛した「無名人」たちが集まってのお別れの会が開かれます。僕もお別れとお礼をを告げに行きたいと思っています。


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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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