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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『天国でまた会おう』


読み貯めてしまうと、なかなか鮮度の良い感想が書けないのですが、
ルメートルさんの、こちらは単発もの。

第一次世界大戦の終焉を目前にした前線で、
名誉欲にとらわれた武将の下、多大な犠牲を強いられた
末端の兵士たちが、戦後をどう生き抜いたか。

これまで読んだミステリとは趣が異なるものの、
大変ハードで重苦しく、ずずんとくる傑作です。
 
 
敵国だけが敵とはかぎらない。
味方のはずの上司が、部下の兵隊を捨て駒にして
己の武勲だけをエゴイスティックに追い求める。

そんな悲惨な戦場で、見捨てられた命の一つとなるはずだった
ひ弱なアルベールは、仲間のエドゥアールの勇気によって奇跡的に息を吹き返す。
が、その瞬間に、仲間を助けたエドゥアールは爆風で顔を吹き飛ばされる。

そんな二人が身を寄せ合いながら、戦後の日々を生き抜きます。
一発逆転の人生を可能にする大犯罪をもくろみながら。

この話は、戦死した兵士の埋葬に関する詐欺をはたらいた
悪徳業者の史実をもとにしているらしいのですが、
ここに描かれる元中尉は、ホントにろくでもないカスです。

そいつが自ら墓穴を掘って自滅していくさまは、胸のすく思いで
読み進むことができるのですが、弱き兵士たちはそれと対比的に
描かれるのではなく、同じ時を並行して生き延びながら
やはり彼らなりの業を負って、幸せとは縁遠い位置に置かれます。

悪人は裁かれ、善人にはそれなりのささやかな幸せが訪れる、なんて
お気楽な話をルメートルさんは決して書こうとしません。

善人であるはずの二人が善人になりきらず、嘘とごまかしで
挙動不審に陥りながら、息切れしそうに暮らすのが
なんとも読んでて苦しい。こちらまで息が詰まりそうになります。

誰も幸せにはならない、というある種の真実を
ルメートルさんは冷静に、冷淡ともいえるほどに書きつづります。
戦争で欠落したものは元通りにならず、
それを粗い粘土細工で補うだけのような生き方。
そこにあるやるせなさが、ただただ辛いのです。

読み手によって好き嫌いはありましょうが、
しかし作品の面白さは否定しようがなく、
ルメートルさんの希有な才能を、またひとつ感じさせる本でした。
洋モノでは、いまんとこベスト。


 

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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