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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『名高き海賊船長シングルトンの冒険一代記』


ユニオンプレス→こちら

・・・タイトルそのままの本である。
よって、ここで筋を詳しく述べてしまっては、この本を読む愉しみが殺がれてしまうかもしれない。
ただ、この本が 18世紀初頭に書かれた古い小説だということは、あらかじめ知っておいた方がいいと思う。
なぜなら、日ごろ慣れ親しんでいる小説の手法とか、構成とか、そういうものがまだまったく洗練される前に書かれたであろうから、自分がその時代の読者になりきって読まないと、やれ読みにくいだとか、疲れるだとか、そういうもったいないことこの上ない感想を持ってしまいかねないからだ。
だから、これからこの本を読んでみようと思われる方は、宮部みゆきや藤沢周平を読むようなつもりで本を開くのではなく、作者の語りに自分から歩み寄って、そのままを受け入れてみてね、とお伝えしたいと思う。
そうした方が、この本をずっとずっと愉しめると思うから。
 
 
作者のダニエル・デフォーは、誰もが知っている、『ロビンソン・クルーソー』の作者だ。
別の代表作に『モール・フランダーズ』という悪女モノがあるので、それを知っている人もいるかもしれない。
(私は英国製作のシリーズドラマを観たことがある。これがまぁ、とんでもない女の波乱万丈一代記であった。)

私が記憶している『ロビンソン・クルーソー』は、主人公が難破して無人島に流れ着き、長い年月の末に生還を果たすまでのサバイバル生活を詳しく描いたものだ(なにしろ小学生の時にジュブナイルかもしれないものを読んだきりなので、これが正しい粗筋かどうかはわからない)が、この『名高き海賊船長シングルトンの冒険一代記』は、「もうひとつのロビンソン・クルーソー」ともいうべき、大冒険、大サバイバル物語なのである。

物語は大きく2つの部分に、そもそもの事のいきさつや最後の主人公の近況部分を別に考えると、4つの部分に分けられる。
しかし、章立てとか見出しとか、そういうインデックスの類はひとつもつけられておらず、物語は始まってから終わるまで、ひたすら滔々と流れてゆく。
ちょっと一旦中断しようかなと思っても、どのタイミングで本に栞をはさむべきなのか、決断がつきにくいのだ。
ハイどうぞここで一休みしてくださいねというきっかけを、この本は別段与えてはくれない。
我々が慣れきっているご親切さとは、無縁といえるのかもしれない。

最初の大きなパートでは、主人公がひたすら、仲間と暗黒大陸を探検しながら生き延びることだけに奮闘し、知恵を絞るようすが一人称で描かれるが、松岡正剛はこの部分を、「コンラッドの傑作『闇の奥』の大胆な先行作品」と評している。

ところで「海賊船長」はいつ出てくるのか?
・・・ご心配なく。
陸であがく主人公はその後、粉骨砕身の末、稀代の海の悪党として、ドクロの旗を掲げてわが国のすぐ近くにまでやって来るのだ。
こうしたシングルトンの冒険の日々には、忘れがたい一風変わった好漢が幾人か登場する。
これがこの物語の魅力の一つでもある。

さて、海洋や未開の地でのサバイバルに、ロビンソン・クルーソーは、智慧と勇気と、不確かな記憶では信仰を拠り所としたはずだが、この本では、何よりも仲間うちでの秩序、そして強靭なリーダーシップが求められたことが、読んでいて一番の驚きだった。
決断に当たっては、何より理性が尊ばれる。
条理を立てた説明することで仲間の合意を得て、初めて行動に移される。
大自然の中で危険を察知し、回避しながら効率よく悪事を行うには、何よりも綿密な計画と、一致団結した行動こそが肝要だというわけだ。
なーんだ、海賊って、一種のチームスポーツじゃないか。

こうして名高きキャプテン(海賊船長)となったシングルトンの、無尽蔵に積み上げられた資産の運用と投資の行く末、それが、この物語の最後に描かれる。
彼は人生の総決算を、果たしてどのように実現したのか。
それは、読んでのおたのしみ。


これが書かれたのは、スウィフトが『ガリヴァー旅行記』を発表する7年前。
『ロビンソン・クルーソー』の翌年に60歳で一気呵成に書きあげられたこの華々しい一代記、実は発表後にはほとんど売れず、作者はずいぶんと落胆したらしい。
それでも2年後には『モール・フランダーズ』を書き、71歳で没するまで、小説や旅行記、心霊・魔術書の類(ああ、英国人よ!)などをジャンジャン書いたというダニエル・デフォー。
ずいぶんとまぁ、エネルギッシュな晩年であったことだ。


『名高き海賊船長シングルトンの冒険一代記』、これが本邦初訳だが、この本が一般書店で流通していないのはいかにも惜しいことだ。
これを読んで、作品にご興味を持たれた方、ぜひamazonでお買い求めいただくか、地元の図書館に購入リクエストという形で圧力をかけてみてください。
デフォー未訳作の待望の初訳として各地の大学図書館には所蔵があるようですが、これは読み物として広く読まれていい作品だと思います。

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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