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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『あなたという国』


『あん』 に続いて、ドリアンさんの作品を読みました。
ニューヨークを舞台にした、若者たちの青春物語。

と書くと、何だか明るい夢物語のようだけど、
国籍や人種問題に真正面から向き合う、
やはり硬派の社会小説なのです。
 
 
30代になっても音楽を諦めきれず、ニューヨークに来て
アルバイトの傍ら、バンド活動を続ける日本人青年の拓人。

同じように世界各国から留学ビザで渡米してきた
さまざまな若い男女が、通学を義務付けられて
毎日、語学学校に集まっています。

大都会の底辺で、治安の良くない格安アパートに身を寄せ、
誰もが自由と成功を夢見て、ギリギリの生活を続けている。

いまだ将来に何の約束もない拓人の生き方に
どこか息が詰まる思いを持ちながら、それでも
大都会の摩天楼で広がる彼らの青春に
読者としても希望を抱かずにはいられません。

しかし、人種差別や偏見はさまざまな形で現れ、
日ごろ仲の良い同級生である彼らの間にも
ひとたび政治や歴史の話題が上れば、それは長年
憎み合い、理解し合うことを拒んだ国家の争いになってしまう。

ロシア人、アフリカ人、そして韓国人のユナ。
拓人はいくつもの出会いを経て、視野を広げていきます。
そして、ひとりの個人として国境を超えた愛情を育てていく。

・・・

時代は十数年前の設定なのだけれど、うかつにもその意図に
気づかずに読んでしまってました。

拓人らは、911の同時多発テロに遭遇するのです。
まさにビルが崩れるのを目の当たりにし、
立ち込める煙を吸い、混乱の渦に巻かれる当事者として。
多数の命が無残にも奪われゆく中で、拓人は言葉にできない
苦渋の思いに身を貫かれます。

壮大なストーリーでありながら、ここに出てくるのはヒーローでもスターでもない、
ただひたむきに自分を信じて生きる若者たち。
震災を経た後では、遠いよその国の出来事のように風化していた
911テロの悲惨さが、リアルに蘇ってきました。

人と人、国と国、個人と集団。
自身の滞米体験をもとにされているのでしょうが、ドリアンさんは
国際社会を生き抜く難しさを、切ないラブストーリーに託して描きます。
異国という舞台が必然的に深い意味を持つ、
これまたとても真面目な良い作品でありました。
 



 
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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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