♪おすすめ Blog

カテゴリ

最新コメント

Link

ブックオフオンライン【PC・携帯共通】

このブログをリンクに追加する

プロフィール

おもしろ本棚

Author:おもしろ本棚
読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

検索フォーム

月別アーカイブ

QRコード

QR

おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
森史朗『零戦7人のサムライ』(文芸春秋)



零戦(ゼロ戦とも)の栄光から悲劇の歴史を描く渾身のドキュメント――こう書いてしまうと、そこには多分に情緒的なニュアンスが含まれてしまいますね。「歴史」を語る際には、およそすべての感情を取っ払って「事実」のみを客観的に語ることが必要だと思っています。何となれば、勝者にとっての「栄光」の歴史は、敗者にとっての「悲劇」の歴史であって、加害者の「あやまち」や「反省」は、被害者の「怒り」や「屈辱」に他ならないからです。


資料に基づいて事実のみを探り出し、分析、研究し、そこから得るものを未来に投影させる――歴史学の持つべき役割は十分にわかっているつもりですが、それでもなお、

「雲こそ吾が墓標
落暉(らくき)よ、碑銘をかざれ」

この本書冒頭のエピグラフ(阿川弘之『雲の墓標』より)を目にしてしまうと、もうそれだけでウルウルと涙が流れてきてしまうのです。幼い頃から戦記マンガや戦争映画・テレビを見て育ち、そこからは右翼的センチメンタリズムの刷り込みを、長じては『きけわだつみのこえ』や戦争文学などを通して左翼的反戦思想の洗礼をもろに受けた、ぼくたち。このような相反する視点から戦争と対峙しなければならなかったぼくら戦後民主主義世代は、戦争は馬鹿らしくてやってはいけないものであると理解はしていても、同時に、負け戦に殉じていった兵士たちのヒロイズムに涙する世代でもあるのです。

日中戦争期における中国戦線での華々しいデビュー戦、アジア太平洋戦争劈頭を飾る真珠湾攻撃での圧倒的勝利、南洋群島に展開した前線基地での戦いの日々、山本五十六の最後に立ち会った護衛機乗組員、そして消耗戦の果ての「統帥の外道」特攻……戦死したパイロット、戦後を生き抜いたパイロット、7人の記録がほぼ時系列に描かれています。

集団戦をもって雌雄を決することをもっぱらとする陸海軍に比べ、航空戦、特に戦闘機同士の戦いは個人戦の様相を呈しています。したがって、そこでは戦闘機の性能や、それを操るパイロットの技量が重視されるのは当然のこと。その結果、零戦とその後継機といった、より高性能な戦闘機が開発され(宮崎駿『風立ちぬ』の世界)、第一次世界大戦ではドイツ軍のリヒトホーフェン、アジア太平洋戦争では日本軍の坂井三郎ら、「撃墜王」と称されるパイロットが誕生します。しかし、騎士同士の戦いに美化されるこうした戦闘機同士の戦いも、現代の戦争においては過去の遺物。ただ勝利のため、その一点の目的のためだけに大量破壊兵器が開発され、ゲーム感覚で勝敗を決して行く――零戦の戦いの歴史は、やはり無意味なものだったのでしょうか、パイロットの死は犬死にだったのでしょうか。



スポンサーサイト

テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバック URL
http://marmadays.blog2.fc2.com/tb.php/906-a35e9d47
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)