♪おすすめ Blog

カテゴリ

最新コメント

Link

ブックオフオンライン【PC・携帯共通】

このブログをリンクに追加する

プロフィール

おもしろ本棚

Author:おもしろ本棚
読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

検索フォーム

月別アーカイブ

QRコード

QR

おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『忘れられた巨人』


新年1作めはカズオ・イシグロさま。
昨年、Eテレの「白熱教室」を観て以来、読みたかった本でした。

とてもとても含蓄のあるお話で、
というか
含蓄100%のピュアなファンタジーです。
 
 
はるか昔のイングランドの片田舎、貧しい村の片隅で
息をひそめるように暮らす老夫婦が主人公。

この村のひとびとは、なぜか物忘れが激しく
いろいろな記憶が右から左へと流れるように消えていきます。

まるで霧がかかったように、いつも意識がぼんやりとして
楽しい思い出も忘れるかわりに、憎しみや悲しみも抱くことなく
とても穏やかに日々を過ごして歳を重ねてきたのです。

そんな村にある日現れたひとりの戦士。
村人に害を与える悪鬼を倒した彼は英雄視されますが、
旅の行く手に大きな使命を抱いている様子。

遠くに暮らす息子のもとへ行こうと村を離れる老夫婦に
戦士と村の少年が旅の供となって、はるか遠くを目指します。

というファンタジーなのですが、世紀末の雰囲気が不穏に漂い
何となく、穏やかに暮らす老夫婦が核の放射能に蝕まれながら
命を奪われゆくレイモンド・ブリッグスの『風が吹くとき』を
チラと頭に思い浮かべたりもしながら、
この話のたどり着くところを追ったのでした。

『わたしを離さないで』のストーリー性を期待して読んじゃうと
どこまでも静かな展開がツマラナク思えたりすることもあるかも。
わたくしも前半は、意外にページをめくるのに苦労しました。

しかし読み終えてみると、実によく計算された構成だったと思い至り、
例のごとく、引っ張られた謎が最後に解き明かされると、
ああ、あれも伏線だったのかと、再度読み直したくなりました。
いや、読んでないけどね。

ひと一人の人生と、人間という生き物が繰り返す罪と。
「個」の存在と、「群れ」としての在り方と。
一瞬にして吹き飛ぶ命と、脈々と受け継がれていく血と。

愛と哀しみのうねりに身を委ねて、人は生きてゆく。
ふたりを分かとうとする「船頭」は何びとか。
息子が住み着いた場所はどこにあったのか。

作者はマクロとミクロの目を交差させ、古来ひとが迷い苦しむ
愛と憎しみという普遍的なテーマを、洗練された筆致で描きます。

とかなんとか、
いろいろ書いてるうちに、やっぱりすごい小説だったのだわと
あらためて思う次第でありました。
 



スポンサーサイト

テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバック URL
http://marmadays.blog2.fc2.com/tb.php/899-a37d6d84
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)