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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
桐野夏生『抱く女』(新潮社)


僕は直子から遅れること2、3年の差で大学生になりました。僕の入学した大学には、もうどこを探しても彼女のような「セクトに入ってはいないものの、全共闘運動の周辺にいる小うるさい女」はいませんでした。おしゃれに着飾った女子大生たちは、雀荘で男たちと牌をにらむことも、ジャズ喫茶でタバコをくゆらすことも、もちろん次から次へと違う男たちと寝ることもしません(ホントかな?)。社会に対する異議申し立てや、女としての自立を語るところを見たこともありません。直子はどこに行ってしまったのでしょう。バブルはすぐそこにまで迫っていました。

本書が成蹊大学に通っていた作者の実体験をもとに書かれているフィクションであることは間違いないでしょう。登場人物たちのファッションも、たまり場となっている吉祥寺界隈の描写もリアルです。
追体験としてしか本書を読むことができなかった僕ですが、内ゲバで命を落とす直子の兄のような痛ましい現実も知っているつもりです。そして、「抱かれる女から抱く女へ、私は抱かれているのではなく、好きな女を抱いているのだ」とつぶやく直子のように、女性の自立や権利を世に問う運動がマスコミを賑わせていたことも覚えています。しかし、本書でも描かれているように、そうした一見、自由で開かれたように見える組織の中にあっても、貧富の差や容姿の差でいがみ合い、妬み合う女性が多くいたことも僕はよく知っています。およそすべての革命や変革が、表向きは高邁な理想実現の旗のもと行われているように見える反面、実は私怨こそがその根源にあることも、連合赤軍の女性兵士Nの事例を見るまでなく、厳然とした悲しい事実なのでしょう。
望むと望まざるとにかかわらず、時代の分水嶺に危なっかしい姿勢で立ち続けた直子に、僕は嫉妬にも似た感情を持ってしまうのです。今年のベスト1です。


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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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