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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『狗賓童子の島』
狗賓(ぐひん)童子の島狗賓(ぐひん)童子の島
(2015/01/28)
飯嶋 和一

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6年ぶりの飯島和一さま新作。
期待違わず、ほぼ今年のベストは確定でございます。
 
今作は、幕末に起きた大塩平八郎の乱を核とし、
島根の離島、隠岐を舞台に描いた歴史小説です。
 
 
通常の百姓一揆とは違い、権力者側にいた大坂町奉行の与力が
義侠心に駆られて蜂起した「大塩平八郎の乱」。
(って、この小説を読んで知りました。そうだったのね)

首謀者の一人に名を連ね、唯一生き延びて江戸で病死した河内の豪農、
西村履三郎(実在の人物らしい)の長男、常太郎が物語の主人公です。

当時6歳であった常太郎は父の咎を受け、自身も15歳になるのを待って
流刑の身となり、遠く隠岐の島に送られます。
ところがそこでは、正義の味方、履三郎の息子として人々に尊厳を持って
温かく迎えられ、やがて常太郎は村の医師の元で漢方医学を学び始めるのです。

泰平の世は傾き、過酷な納税に苦しむ農民らと
遊興にふける藩士らとの対立は深まるばかり。

さらにコロリ(コレラ)、麻疹といった疫病がたびたび蔓延し、
満足な栄養も摂れぬまま次々息絶えていく村人を前に
常太郎は無力の念に打ちひしがれます。

漢方の処方も、魚を捕り、樹皮を編む村人の暮らしぶりも、
飯島さんならではの緻密な描写で書き込まれ、決して読みやすくはない
ずしりとした本なのに、読む者の心をとらえて離しません。

やがて幕政は終焉し、王政復古がなされる激動の時期を迎えて、
小さな島でも、それまでの暮らしを覆すような反乱がおきる。

新しい時代に付きものの犠牲はあまりに大きく、また
時代に運命を翻弄される常太郎の生き様を見て、
読み終えた後には、思わず深いため息が漏れてしまいます。

飯島さんという方は、
周到な準備に時間をかけるあまり、結果的に寡作となってしまうのでしょうが
「待った甲斐があった」としみじみ読者に思わせてくれます。

先だって、歴史小説というものはその時代に舞台を借りた
現代の人間の思いを描こうとしている、と読書会のK講師のお話に
深くうなずいたワタクシでしたが、飯島さんの書く歴史小説は
明らかにそれとは違うスタンスを持っている気がします。

どこまでも深く掘り下げて、その時代を生きた人びとに肉迫し、
そこにあった事実をフィクションの世界で描こうとする。
そのためにかける手間や時間を惜しまず、決して妥協を許さない。

そこから生まれてくるものは小説でありながら、遠い昔に
確かにその地に生きた人びとのリアリティだと思うのです。
その執筆姿勢には感服せざるをえません。

次の作品は、オリンピックまでに読めるでしょうか。
今から心待ちにしています。
 
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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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