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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『古事記 』
古事記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集01)古事記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集01)
(2014/11/14)
池澤夏樹

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池澤夏樹=個人編集 日本文学全集 河出書房新社

昨年11月に刊行が開始された、池澤夏樹の選書による日本文学全集。
第一回の配本は、彼の手になる現代語訳『古事記』だったので、イの一番に図書館に予約を入れて先日読み終わった。
(よっぽど全シリーズ早割で買っちまおうかと思ったけれど、買うととたんに読まなくなる自分の傾向を知っているし、大江健三郎の巻なんかまず読まないだろうと思われるので、「コストが合わない」とか「置き場所がない」とかテキトーな理由をつけて絶賛我慢中。
けどまだどこかで、こういうのくらい買えよ!と吠えている自分がいるのだが。)

日本の古典なんて、先般ようやく『源氏物語』を読破しただけで、万葉集も伊勢物語も平家も竹取もダレソレ日記も全く読んだことがない。
それはいかにもマズいのではないか?と不惑を大幅に越えてようやく気がついたので、池澤夏樹におんぶに抱っこしてもらう大作戦に出た次第。
 

 
「籠(こ)もよ み籠持ち・・・」で始まる詩をご存知だろうか。
大学生の時、朝吹三吉先生の文学の講座で、ランボオの『オフェリア』と一緒に教わったのが、万葉集に収録されているその詩だった。
籠を持って歩いている女の子に、君の名は何というの?僕はここらを支配している王様だよ、ちょっとつき合わない?と話しかける求愛の歌だ。
このとき初めて「ことだま」というものを知り、へぇぇと思ったのだが、それが万葉集の最初に出てくる雄略天皇の歌だと知ったのは、ついこの間。
学生当時に聞いていたはずだが、全く忘れていたようだ。
そんな縁で(どんな縁だ)、私は雄略天皇になんとなく親近感を抱いていたのだが、彼は『古事記』の後半の主役の一人でもあった。
歌を詠んでお嬢さんをナンパしている平和な天皇ってわけでもなかったらしい。
そして、訳者の池澤夏樹は、彼のことがどうやらあまり好きではないみたい。


『古事記』には、彼が天皇になったいきさつがかなり詳しく書かれている。
彼は6人兄妹の末っ子だった。
先代天皇は3番目の兄だったが、彼はとある女性の夫を殺して彼女を手に入れて后としていた。
高床式の神聖な建物で、昼間っから后と乳繰り合った後で彼は、
「君を手に入れるために俺が父親を殺したと知ったら、あの子は恨むだろうなぁ」と后に言う。
后には7歳になる連れ子がいたのだ。
そしてその会話を、たまたま建物の床下で遊んでいた連れ子マヨワ(目弱)ノミコが聞いてしまう。
マヨワはその晩、継父の寝首をかき殺し、そのまま家臣の邸宅へ逃げ込む。

兄王を殺されて怒り狂った末っ子は、長兄を、次に次兄を訪ねて復讐の成敗を迫るが、二人とも腰が重い。
怒った彼は、長兄を生き埋めにし、次兄の遺体はバラバラにしてあちこちに埋めて痕跡を消してしまい、軍を動かして家臣の屋敷を囲む。
家臣は独り進み出て言う。
身分ある方が卑しい自分を頼って逃げてこられたからには、自分にはその方をお守りする義務がある。
あなたの軍勢の前には、どうやっても勝つ見込みはないが、こうなった以上、私は王子を差し出す訳にはゆかない。
そういって彼は屋敷に戻り、戦いを続けた。
刀折れ矢尽きたのちに、マヨワは家臣に自分を殺すよう命じ、その後で家臣も自刎して果てた。

そんなこんなで王位を手に入れたのが、雄略天皇だった。
二人の兄を惨殺した彼だが、即位したあとも、随分なエピソードが滔々と語られる。
通りすがりに見かけた女性に「あとで迎えにやるから結婚しないで待っているように」と命じておいて、待てど暮らせど音沙汰なく、とうとう老いた彼女がおずおずと申し出てくると、あ、ごめん、忘れてた!と慌てて宮廷に呼び寄せた話。
采女(高級女官)が酒をつぐ際に、たまたま杯に枯れ葉が落ちてきたのを見咎めて、逆上して馬乗りになって彼女を殺そうとしたところ、その采女が「これは瑞兆なのです」と必死で歌を作って献上し難を逃れた話。
これを池澤は、「この天皇はともかく気が短くてかなわない。采女はレトリックを総動員して、命がけでほめまくって、手討ちにされる危機を逃れたわけだ」と注釈を付けている。
そんな雄略天皇だが、狩りに出たら、討ち損じたイノシシに追っかけられて、思わずびびって木に登っちゃったよ、なんて歌も詠んでいる。
(このエピソードはさすがにみっともないため、『日本書紀』では、家臣が木に登ったことになっているそうだ。)
また別の狩りの際には、むこうの尾根に自分の一行と全く同じ格好の一団がおり、まったく鏡に映ったと同じ反応を示すため矢を射かけようとしたところ、それがヒトコトヌシであったことを知り、自分の太刀や弓、家臣の衣まで脱がせて献上し、礼拝して赦されたという、神話的なエピソードもあった。
ううむ、やっぱり私は、雄略天皇をさほど嫌いにはなれないなぁ。

とまぁこんな風にして、実に苦もなく、古事記を読みとおすことができた。
これは驚きだ。
丁寧に読めば、相応の時間を要するとは思うけれど、私にとっては、「この書物に、どんなことがどんなボリュウムで書かれているのか」が興味の焦点だったので、その点は大変に満足がいった。
そして、下段に書かれた池澤夏樹の注釈も、実に面白い。
スサノオの狼藉の場面。
機織り女が驚いた弾みに織り機の部分を性器に突き立てて死んでしまったところを「スサノオによる強姦致死という連想は成り立たないか」。
また古事記には、地名の由来を示した文章が多いが、時々「この地名起源説はちょっと無理がないか」と注釈で異議を唱えたりもしている。
今の読者の現実の感覚に、とても近い注であるような気がする。
古事記はおもしろい!なんてお手軽に言う気は全くないけれど、工夫を凝らされて誰にでも読める現代語訳があるのだから、ちょっと読んでみてはいかが?くらいには、私もヒトコト乗っておきたいと思う。

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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