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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
坂東眞砂子『くちぬい』(集英社)
くちぬい (集英社文庫)くちぬい (集英社文庫)
(2014/05/20)
坂東 眞砂子

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今年の1月に亡くなった坂東眞砂子の傑作。発表は2011年11月の書き下ろし。その年の3月に起こった東日本大震災と、本人の高知移住が執筆のきっかけとなっているようです。


定年退職後の第二の人生を田舎暮らしに求めて夫婦で高知県の山村に移住した竣亮と麻由子。夫の竣亮は趣味の陶芸を極めたいと望み、妻の麻由子は原子力発電所事故の放射能被害を恐れての東京脱出。老人ばかりの限界集落にログハウスを建て、理想の田舎暮らしを始めた二人。しかし、ちょっとした先住者たちとのいさかいが、いじめ、、嫌がらせを生み、ついには思わぬ悲劇となっていく……。田舎に住んでいるお年寄りはみんな素朴で親切でいい人ばかり、という幻想をものの見事に打ち砕きます。

僕自身、家族の反対があっておそらくは実行できないでしょうが、定年後の田舎暮らしにはずっと憧れてきました。古民家を改修し、晴耕雨読の生活を送る。畑を作ったり、釣りに行ったりして、食べ物の多くを自給する。インターネットの発達が日常品の購入と、情報の入手をともに可能にしてくれると思っています。だけど、人との付き合いは……。この本を読んで、田舎暮らしに対する憧れがちょっぴり薄れてしまいました。

初期の坂東さんの作品は、日本を舞台にした土俗的なホラーが中心で、その後は、伝奇的な時代小説にもフィールドを広げていました。今回の作品には、タヒチ移住から帰国後、生まれ故郷の高知に戻ってからの自分自身の体験が色濃く反映されています。二年間に及ぶ田舎の住人たちとのトラブルや嫌がらせ、いじめの実際については、集英社のPR誌にエッセイとして書かれています。

タイトルの「くちぬい」とは、「口縫い」――つまり、共同体に不都合な余計なことは言わずに生きている田舎の老人たちの姿であり、健康に影響のある放射能量ではありませんと繰り返すマスコミの姿でもあります。ものすごく怖いお話しです。死霊やゾンビが跋扈する話ではありませんが、人付き合いの良い仮面の裏に隠された、老人たちの悪意や狂気には慄然とさせられます。仲間意識が異常に強く、異端者や共同生活に不向きと烙印を押された者は徹底的に排除する、日本特有の排他的感情。村八分は葬式と火事以外の付き合いを絶つ行為ですが、ここで描かれているのはもっと陰湿な、生命の危険すら屁とも思わないような、害意をともなう行動です。

後味の悪さを覚悟して、是非お読みください。

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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