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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『忘却の声』
忘却の声 上忘却の声 上
(2014/06/28)
アリス・ラプラント

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怖い。もう怖い。とにかく業が深い。
認知症の女性が主人公のミステリ。

しかし、あえてコレを今年のベスト本として確定したいと思います。
 
 
ジェニファーは64歳にして進行性アルツハイマーを発症した女性です。
辣腕弁護士を夫に持ち、自身も凄腕の整形外科医として名を成し、
順風満帆だった人生は、ある日、手術の最中に器具の名前が出ず
「そのキラキラしたよく切れるやつを取って」
と発した一言から、崩れ始めていったのでした。

物語は、彼女の親友アマンダが、鋭利な刃物で指を切り落とされた死体となって見つかり、
すでに病がかなり進行したジェニファーに嫌疑がかかるところから始まります。

入れ替わり立ち替わりやってくる刑事の尋問にも
彼女はもはや答えられない。というか、アマンダが死んだことさえ理解できない。
独立した息子を亡き夫と間違えたり、初めて会う人と言ってみたり。
同居して世話をする雇人の女性さえ、毎日「見知らぬ人」になる。

しかし、昔の記憶は断続的にまざまざと蘇るのです。
自分の子ども時代、青春時代、妻として母として医師としての日々、
ささいな出来事が、まるで目の前にあるかのように鮮明に。

そういう「まだら呆け」を利用して、頭が冴えてるときに読み直せるよう
彼女はメモをとる。周囲の人も記録を残す。

行間の多い本文は、そんなメモを主体に、彼女の視点から描かれたものです。
「わたし」という人間の不確かさ、人生の無常。
しかし、霧が晴れたようにときおり記憶の底から引き出されるのは、

波乱をやり過ごし、見た目だけが維持された危うい夫婦関係や
自立心に欠けた息子との軋轢、生まれながらにして不和の源となった娘。
親友でありながら、依存し合い、憎み合っていたアマンダとの「友情」。

人生の奥深くからにじみ出る、ジェニファーの「業」なのです。

彼女の認知症はどんどん進行していきます。
彼女なりの理由があって、どこでも服を脱ぎ、裸足で徘徊し、
本能の成すがままに、その場で粗相をする。

ずっと彼女の視点で描かれるその過程が、
もうリアルでリアルで、他人事には思えない怖さがあるんですよ。

実際のところ彼女はアマンダを殺したのか。
殺したなら、なぜそうしたのか。
熱意ある刑事の手で、少しずつ母の秘密が明らかにされるのを、
張り裂けそうな思いで見守る娘のフィオナと息子のマーク。

初めの章は「わたし」という一人称で。
半ばからは「あなた」という二人称で。
最後は「彼女」という三人称へ。
人間の脆さ、生きることの罪、すべてを昇華していく「認知症」の末期。

事件のすべては、衝撃的な結末で明らかにされます。
なぜアマンダは、指を切り落とされなければならなかったのか。

いやー怖いわ。怖い。
20代、30代の人には響かないかもしれないけど、
この重さ、鋭さ、巧みさで、オトナは確実にショックを受けますわ。
海の向こうでベストセラーになったというのもうなずける。

オトナ読書家の皆さま、
これはぜひお読みくださいませ。男女不問です。
 
忘却の声 下忘却の声 下
(2014/06/28)
アリス・ラプラント

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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