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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
「カイト・ランナー」改め「君のためなら千回でも」。
カイト・ランナーカイト・ランナー
(2006/03)
カーレド ホッセイニ

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2003年にアメリカで出版され、
全世界で800万部以上を売上げたというベストセラー作品です。
作者はアフガニスタン出身でアメリカへ逃れて大人になったという人。
2008年に「君のためなら千回でも」という邦題で映画も公開されています。

でも、知らなかった。
やっぱり、日本にとってアフガニスタンは
心理的距離が遠い国だからでしょうか。


物語の始まりは1975年、アフガニスタンの首都カブール。
12歳のアミールは裕福な父ババと二人暮らし。
少し年下の遊び友だちハッサンは、
父親のアリと共にアミールの家の召使いです。

ババは自身も「強い男」であり、息子にも強くあることを求めます。
アミールはどちらかといえば、
本を読んだり、お話を作ったりすることが好きな少年。
でも、父親の愛情を求めて、ババの理想の少年になろうとがんばります。

ババがハッサンを同じように大事にしていることがアミールにはしゃくの種。ときに意地悪をしたり、冷たくしたりもするのですが
ハッサンはあくまで素直で純粋で忠実。
「君のためなら千回でも」はハッサンがアミールに言う言葉です。

1978年冬。恒例の凧合戦の日に起きたある事件。
アミールはハッサンに対して贖いようのない罪を犯した自分、
それに正面から向き合えない自分の弱さが自分で許せません。

そして、ハッサンと距離を置いたまま、79年ソ連侵攻を受け、
父親と二人でアメリカへ亡命。
二人の人生は違う方向へと舵をきって別れていきます。

2000年にアメリカで小説家としてスタートラインに立った
アミールの元にババのビジネスパートナーであり
自分を分かってくれる存在であったラヒムから電話がかかってきます。
「来るんだ。もう一度やり直す道がある」。

そして、タリバン支配下のアフガニスタンに向かったアミールは…。

登場人物たちの思いに寄り添いながら、展開にはらはらしながら、
人として大切なもの、美しいものを
いろいろ見せてもらった気分になる小説です。

多くのアフガニスタン人はテロとは無縁であり、
むしろ、たくさんのものを失った被害者であること。
豊かな自然と温かい日々の暮らしがあったのに、
そこに二度と戻れないという現実の中で、
彼らはそれでも前に向かっているということ、etc.

9.11同時多発テロを経験したアメリカで
アフガニスタンを敵視する気分がまだ色濃く残る2003年に、
この小説がベストセラーになった意味は大きいでしょう。

「君のためなら千回でも」とタイトルを変えて、
早川epi文庫からも発行されています。
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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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