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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
大木晴子・鈴木一誌編著『1969新宿西口地下広場』(新宿書房)
1969―新宿西口地下広場1969―新宿西口地下広場
(2014/06)
大木 晴子、鈴木 一誌 他

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日本の現代史を紐解いてみましょうか。


1969年春、新宿駅西口地下広場にギターを手にした若者が集まりフォークソングを歌い始めました。時代は、ベトナム反戦運動、安保粉砕運動、沖縄闘争、三里塚阻止闘争など、市民運動は臨界点に近づいていました。この集まりは、やがて多くの人を集めたフォーク集会へと発展し、論議を交わす場、一種の解放区へと変貌を遂げていきます。しかい、それを良しとしない権力者は、5月には機動隊を導入し排除を開始し、ついには7月24日、「広場」を「通路」と改称し(姑息極まりない)、フォーク集会は道路交通法違反の名目で取り締まりの対象となってしまいます。わずか5ヶ月あまりの幻の祝祭――そのエフェメラが残したものは何か、歴史に何を残し得たのか、を検証した一冊です。

編者の一人、大木晴子さんは、当時、21歳。2月から新宿西口地下広場でフォークソングを歌いながらベトナム戦争反対の意思表示を始めます。いったんは、家庭に入り活動からは離れますが、2003年2月以降、イラク戦争勃発を契機に再び広場に立って、反戦活動を始められています。長い年月を経てもなおブレることのないその生き方、何よりも、常に自分の「意思表示」ができる姿勢に驚きます。社会人になってなあなあで生きることを学んでしまった僕には、とても真似のできることではありません。尊敬し、うらやましくも思ってしまう、彼女の生き方です。

ところで、奇しくも同じ頃、新宿西口地下広場とは別の、性格をまったく異にする二つの「広場」が、この国に生まれています。

一つは、1970年3月開催の日本万国博覧会シンボルゾーンに作られた「お祭り広場」です。太陽の塔の背面に広がり、大屋根に覆われたこの広いスペースは、万博のテーマに則し、世界中の人々が出会い、自由に語り合ったり、歌ったりできる場として作られたものの、その実、管理された行事やイベントに使用され、来場者が憩う場所しての機能を果たすことができませんでした。理想は素晴らしいものであっても、やはり官製「広場」の限界です。

二番目が、みずから「もう一つの別の広場」と称したように、アンダーグラウンドでマイナーな位置づけであることを背負う形で始まった深夜放送でした。「闇の文化と言わば言え」との開き直りが示すように、ラジオという公共メディアでありながら、深夜の解放区をめざした番組は、新宿西口地下広場のDNAを引き継いでいたと思っています。実際、西口地下広場のフォーク集会には間に合わなかった僕は、深夜放送から圧倒的な影響を受けています。

なお、本書には付録として当時の西口地下広場の状況を写しとったドキュメンタリー映画のDVDがついています。モノクロ映像で見る、ザラザラとした画面。録音状態もひどい音声。だけど、そこには作りものではない、当時=1969年を真剣に生きている日本人の姿や声が記録されています。何よりも、フォーク集会として始まった解放区ですから、多くの歌声が聞こえてきます。「機動隊ブルース」「プレイボーイ・プレイガール」、そして「ウィ・シャル・オーバーカム」。僕が金曜日夜に足を運ぶ官邸前デモに欠落している(一部の限られた場所では歌われてもいますが)、「みんなで同じ歌を歌う」という行為――連帯感が、この広場には、この時代には確かにあったということに感動してしまいます。

今の若い人たちには、この本を読んで、このDVDを見てもらい、雑踏が行き過ぎるだけの新宿駅西口の地下スペースが、かつて「解放区」であったこと、そこで何が歌われ、何が語られ、誰が血を流し、誰が暴力を振るったのか、などの歴史をぜひとも知ってほしいと思います。


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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

コメント
ページに掲載させて頂きました。
丁寧な書評を書いて頂きありがとうございました。
私のページ「明日も晴れー大木晴子のページ」に
掲載して、リンクをはらせていただきました。
よろしくお願いいたします。
[2014/12/16 16:37] URL | 大木晴子 #RbTrXAwY [ 編集 ]


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