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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
小池真理子『怪談』(集英社)
怪談怪談
(2014/07/25)
小池 真理子

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「怪談の名手」と呼ばれる作家がいます。隣接するジャンルのSF作家やミステリ系の作家に多いのは当然かもしれませんが、中には本来は純文学作家であったり、恋愛小説のプロであったりする作家にも、そうした「怪談の名手」は少なからず存在しています。小池真理子のもまた、本連作集のあとがきで述べているように、「ほとんど趣味のようにして幻想怪奇小説と呼ばれるジャンルの作品を幾つも書き続けてきた」一人です。

この連作短編集には、7作の怪談が収められています。

20年前に謎の自殺を遂げた恋人が最後の宿をとったペンションを訪ねる「私」(『岬へ』)。夫と死別し、その弟と再婚した友人が住まう旧家を訪れた「私」(『座敷』)。公園に佇む孤独な老人と会話を続ける恵まれた家庭に暮らす「わたし」(『幸福な家』)。異形のモノと人里離れた別荘で暮らす老女の「わたし」(『同居人』)。誰も着ていたはずのない黒いカーディガンの謎を追う「私」(『カーディガン』)。最愛の妻を亡くした男のもとに訪れる奇跡(『ぬばたまの』)。そして、幼くして死んだ弟へのレクイエムにも似た、死への憧憬を語る「私」(『還る』)。

唯一、男性を主人公にした『ぬばたまの』を除き、他のすべては女性である「私」か「わたし」を語り手としています。

日本で「怪談」や「恐怖小説」のたぐいを、いつの頃から「ホラー」と言い習わすようになったのかは知れませんが、小池真理子が描く恐怖譚は、「怪談」という言葉こそ似合う作品群だと思っています(もっとも、恐怖小説のデビュー作『墓地を見おろす家』は、完全に「ホラー小説」でしたが…)。思うに、「ホラー」と呼ばれる恐怖小説が、物理的な恐怖の連投で読者をいかに怖がらせ続けるかに重点を置いているのに対し、日本古来の「怪談」は、怖がらせる異形の存在にも、怖がる日常を生きる人間にも、ともに「哀しみ」のような感情――恨みや尽きせぬ思いや未練などに裏打ちされた「何か」が根っこにあるように思えてなりません。

7作の中で僕の一番のお気に入りは、『幸福な家』です。ネタバレになってしまいますが、ここでは死者と生者の関係が最後まで隠されていて、幸福に満たされている思われていた者と、孤独の極みにあると思われていた者とが、実はまったく逆の位置にあったことが明らかにされた瞬間、世界が反転する感覚と、押し寄せてくる哀しみに圧倒されてしまいました。

怪談といえば夏の定番、のようになっていますが、まだ残暑の残る秋の夜長、日本的「怪談」をお愉しみになってはいかがでしょうか。

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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