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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『図書室の魔法』
図書室の魔法 上 (創元SF文庫)図書室の魔法 上 (創元SF文庫)
(2014/04/28)
ジョー・ウォルトン

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児童文学みたいな可愛いタイトルと装丁だけど、ヒューゴー賞受賞とくれば
やはりSF・ファンタジー小説なんだろうと思って読み始めたんですが。

もしかしたら、そうではないのかもね。
 
 
舞台は1970年代~80年代のイギリス。
主人公のモリは15歳の女の子だから、今はアラフィフ世代ですね。

さて、モリは大の本好き少女。
書店と図書館に日々通い詰め、朝から晩まで本を読み漁る。
勉強はよくできるけど、体育と数学は苦手。
斜に構えたものの見方をして、上から目線で小理屈をこねるから
決してクラスの人気者ってわけではない。

・・・と書けば、かつて昭和の文学少女だった皆みなさまは
どこか胸にズキっとくるものがあるのではないでしょうか。

しかしモリは15歳にして、ちょっと深刻な人生の課題を負っています。
車の事故で片脚を損傷し、杖がなければ歩けなくなった。
(それまでは体育も大の得意だったんだけどね)

同じ事故で双子の妹を亡くし、それを機に折り合いの悪い実母と別れ、
モリは幼いころに離婚して顔も知らなかった父と叔母たちの家に向かう。
そして寄宿制の女子校に入学することになるのです。

物語はモリの日記形式で、イギリスらしい寄宿生生活(寮対抗で得点を競うとか、
仲良しの友達には菓子パンを分け与えるとか)の日常や、
試験の成績、街の図書館と、そこで開かれる読書会、などと
一少女の青春の日々と成長が記されていきます。

ただ一つ、フツーでなかったのは、
モリは魔女だったのです。
とまでは言わないが、モリには森や廃墟に潜むフェアリーたちが見えるのです。
彼or彼女たちと言葉を交わし、意思の疎通を図り、魔術を使う。

モリは密かに魔術を使うことで、自分の思い通りに事が運ばれると知っています。
何より、実の母親こそ悪い魔女で、離れて暮らすモリに攻撃をしかけてくるので
彼女は母なる存在と戦いつつ、日々を生き抜かねばならないのです。

そんな毎日の中でモリは友情を育て、母以外の親族から愛情を受け、
読書会で知り合った、SFに深い造詣のある美少年と恋をし、
進学の希望と未来の夢を膨らませていく。

ならばやはりファンタジー小説かっちゅーと。

読むほどにそうじゃないという気がしてくる。フェアリーも魔術も、それは
モリの視点から描かれるもの。
幼いころの記憶がある人なら誰でも一度は経験している。
自分は魔法使いだと。自分がこう考えたから、あれをこうしたから
世の中が変わってしまったんだという一種の加害妄想を。

モリの母親は、なるほど確かに毒親と呼ばれるタイプのだらしない女性で
あったに違いない。モリがそういう劣悪な家庭環境から逃避する手段が
本であり、空想世界であったとすれば、幼い時期を過ぎても
超現実の力を持ったと信じて自分を強くしていくしかなかったのかもしれない。

とすると、これはファンタジーなどではなくて、心象風景を描いた小説?
などと穿った見方もしたくなるような深みを持った作品なのです。

もちろん、本好き、特にSF小説好きという設定だけに、この中には
何十冊ものSFタイトルが出てきます。それに対する批評もどっさり。
SFファンなら、また違った楽しさが持てる本だと思います。

私としては、図書館シーンがとても興味深く、ILLという図書館間の蔵書のやりとりが
頻繁に町の公共図書館で行われているのが、なんとも羨ましく
本を愛する人びとの喜びが老若男女を問わない読書会で生き生きと
描かれることに、とても心惹かれるものがありました。
 
モリは決して可愛くも素直でもない扱いにくい少女ではあるのですが、
遠い昔の自分を見るような恥ずかしさも募ってくるのです。

巻末には小説で取り上げたSF作品リストがあって、こちらも興味深いです。
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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

コメント
嬉しはずかし
紹介文にピンと来てアマゾン(古書)で取り寄せあっというまに読んでしまった。
私の方が少し(?)主人公よりおねえさんですが『指輪』の地名を現実に当てはめている処から引き込まれました。
巻末のリストが気が利いてます。(5分の1くらいしか読んでいない)
主人公に萩尾望都の「11人いる!」を読ませたらどんなコメントを言うかしら?
[2014/09/30 11:14] URL | もと #Zf5SlywA [ 編集 ]

もとさま
SF小説好きにはたまらないリストなんでしょうね。
この前ニュースで、スコットランドの人は6割以上がエルフを信じていて、エルフのために環境破壊とたたかう裁判で勝利したというのを読んで、何だか納得したのでした。日本とはやはり違うお国柄。
[2014/10/03 21:42] URL | ままりん #- [ 編集 ]


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