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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『怒り』
怒り(上)怒り(上)
(2014/01/24)
吉田 修一

商品詳細を見る


幅広すぎるジャンルの作品を手掛ける吉田さん。
期待の新作は、ううむ『悪人』を思い起こさせる
逃亡者のサスペンス。

来ました!

今年のベストですよ!
 

 
もちろんフィクションではあるのですが、実際に起きた事件を
いくつかベースにしていると思われて、手っ取り早く説明すると、

事件は八王子の一戸建て住宅で起きた殺人事件。
子どものいない若夫婦ながら、猟奇的な惨殺、犯人の異常性は
世田谷一家殺人事件にも似ています。

しかし犯人はあっさりと身元が割れている。
山神一也。20代の男性。右頬に特徴的なほくろがあり、左利き。

逃亡する男と、それを追う警察。
男は全国各地を転々としつつ、自分でほくろの一つを削ぎ取り、
飯場で稼いだ金を使って医者にかかり、整形をする。

そう、まさに「市橋達也」の跡をたどるような逃亡なのです。
しかし、この小説のうまさ、面白さは全然別のところにある。
ここでは、いくつもの章が並行して、さまざまな人びとが出てきます。

●少し頭の弱い娘とその父親が、ひっそり暮らす海辺の街。

●都会に暮らしながら、発展場で次々と男をひっかける
ゲイのエリート会社員。

●男にだらしない母のおかげで、どこにも落ち着くことなく
沖縄の小さな島まで流れ着いた女子高生。

何のつながりもない人びとの間には、しかし共通項がある。
それは「素性の知れない男」が、穏やかな暮らしの中に居つき、
いつしか深い情を通わせてしまうこと。

「田中」「高橋」「小林」「大西」
ありきたりな名を騙り、保険証すら持てぬまま、各地を
彷徨い暮らす男は、果たして同一人物なのか。
あるいは、そのどれかがホシなのか。

物語は謎を秘めたまま、ぐいぐいと読者を引っ張ります。
街角の指名手配写真。整形前とその後。あるいは女装姿。

やがてテレビ局の特番で山神の公開捜査が取り上げられて、
「素性の知れない男」に深入りした善良な人びとは
あいつが犯人ではないのかと疑念に苛まれ、葛藤します。

いやもう、それぞれの人間ドラマがものすごく緻密に描かれて
実に考えさせられてしまうのです。胸が痛い痛い。
なぜ、本当の名前が言えないのか。逃げながら暮らすのは
一体どんな生い立ちの人間なのか。

そしてついに謎が解けたとき、なんともいえない
辛さ、哀しみがひたひたと心の芯まで押し寄せてくるのです。
一人ひとりの生きかたが、どれもリアリティをもって迫ってくる。

「怒り」のキーワードもとてもよく効いてます。
執拗に犯人を追う孤独な刑事もいい。

いやーもー余韻にひたりきっております。
吉田修一さんはすごいなあ。素晴らしいなあ。

しかし、ラストでどんでん返しってパターンだと
やっぱり映像化は厳しいよねぇぇ。
景色の美しい小説なので、映像化してほしいけれども。

おススメですよー。

  
怒り(下)怒り(下)
(2014/01/24)
吉田 修一

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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