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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
中高年男性のあこがれ小説「脊梁山脈」。
脊梁山脈脊梁山脈
(2013/04/22)
乙川 優三郎

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乙川優三郎が初めて書いた現代小説だそうです。
本来なら私が進んで手に取るタイプの小説じゃない、です。
どうして読もうと思ったのか思い出せないのですが、
そういう本に予想外の感動が隠れているかも…どきどき。
主人公は復員列車の中で出会った「小椋康造」という人の消息を求め、
東北、長野、近江と旅をしているうちに、
轆轤で器や盆、こけしなどを作る「木地師」に魅せられていきます。
いつしか木地師の仕事の図録を作ることにのめり込む彼の姿を縦糸に、
旅の途中で出会った木地師の娘・多希子とのほのかな恋愛や
絵を描くことに人生を賭ける勝ち気で自立した都会の女性・佳江との
思うようにならない関係を横糸にして、紡ぎ出される物語です。

3分の1以上が、主人公が調べたり、考えたりした
日本の木地師の起源、古代史の謎、
真実が隠され都合良く作り換えられた歴史への怒りなどの記述に費やされます。

消えていきそうなものへの哀切、
自分も手を汚した戦争への視線、日本と日本人への思いなどの重いテーマを包含し、
価値観を一度ひっくり返された男性が、
戦後の、みんなが一斉に駆け足をしているようなめまぐるしい世の中で
いかにして自分を見失わずに生きていくべきかを悩みながら、
自分らしい生き方を追求していくお話、
という感じでしょうか…。

戦争から戻って、父・弟を亡くし、家をなくし、呆然としている主人公は、
突然伯父から莫大な資産を相続することになり、
一気に生活のために働く必要のない高等遊民となります。

慎み深く、清潔で、自分の気持ちを押し付けたりしない女性を愛人のようにしながら、
反抗的で、いつも突っ張っているくせに彼には弱みを見せたりする女性にも心をひかれ、
どちらとも一定の距離を置きながら、御宿の別荘、藤沢の別宅と、旅に暮らすという
いい歳してふわふわしてて生活感がない、なんだかなあな主人公の人生。

そのことに後ろめたさを感じるから
生活のために良木を求め険しい山脈を越えていく木地師にひかれ、
あれこれ調べて記録に残そうとするわけですが、
自分自身はいつも安全地帯にいる主人公の
悩み、苦しみにどうしても素直に感情移入ができません。

中年男性にとって、ある意味憧れの人生であろうよなあ、という気はしますが
そんなことにかまけてないで、フィリピンで戦死したかもしれない弟が生きているという
かすかな希望にすがって故郷でけなげに畑仕事しているお母さんをもっと大事にしろよ、
なんて思ってしまう私は、この小説の良い読者にはなれなかったようです。

わたし的には残念本ですが、
『本の雑誌』1月号「本の雑誌が選んだ2013年度ベスト10」では
堂々4位にランクインしていました。
文章はきれいだし、優れた小説なのだろうと思います。

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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