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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『死神の浮力』
死神の浮力死神の浮力
(2013/07/30)
伊坂 幸太郎

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前作にあたる『死神の精度』を読んではいないのですが、
暮れも押し迫った この期に及んで

マイベスト更新ですよ♪
 
 
なんとなく、私の中ではテーマ的に
中村文則さんの延長線上に伊坂さんがあり、
その延長線上に村上春樹さんがあるような気がしているのですが。

ちょっと前に読んだ短編の『人間らしく(リンク)』が、すごく良かったので
今作もとても期待して手に取り、その期待をさらに上回る満足感を得ました。

死神の「千葉」は、アチラの世界から派遣された調査員で
対象となる人間が「可」、すなわち死なせるべきか「否」かを判断する。
同じ仕事をしている仲間はあちこちにいて、複数の死者が生じる場面では
ときどき背後にいる調査員どうしが出くわすこともある。

大方の調査員は、どうせ「可」にするんだからといい加減な仕事をするけれど
千葉は違う。きっちり対象者に寄り添い、最期まで見届けて任務を終える。

今回の対象者は、10歳になる愛娘を何者かに連れ去られ、殺された中年作家の男。
といっても犯人はわかっている。以前、読者を装い作家に近づいてきた男。
自ら作家とその妻だけにわかる真実を巧妙に知らせにきた、
人の心の痛みをまるで感じない、冷酷無比なサイコパス。

男は容疑者として捕まりながら、裁判で無罪を勝ち得て社会に復帰する。
そればかりか苦痛のどん底にある作家らをさらに翻弄し、陥れようと画策する。

作家夫婦も負けてはいない。娘の仇を討つために、出てきた男を捕え
無慈悲な制裁を与えようと、念入りに執拗に準備を進めてきた。

物語は、ひとつの犯罪の加害者と被害者が罠を仕掛け合いながら
スリリングに闘うさまを追いかけます。読者としては、事件の真実が
だんだん明らかになり、質のいいミステリとしての側面に引きこまれるのはもちろん、
死神にねらわれた作家の運命やいかに、という興味がどんどん深まっていくのです。

ところが相手の男にも「千葉」の仲間、すなわち調査員がついており、
彼もまた生死の運命を死神に握られていることがわかる。

男と作家は対決の場を迎えますが、そのときはどちらも死なないと読者は知っている。
だって、それぞれの「調査期間」がまだ残っているからね。
この「創造主」的視点と、本筋のミステリが実に巧妙に絡まって
単なる勝ち負けとは異なる、「そうきたか」と唸る結果が披露されるのです。

千葉や作家夫婦の会話のあちこちでつぶやかれるのが、
パスカルをはじめとする古今東西の先人の名言や人生訓。
善とは何か、悪とは。生と死は勧善懲悪と結びつくのか。
こういうテーマって、中村さんが常に挑むところのものと
とても共通するものがあると思うのです。

作中で『罪と罰』をモチーフにした映画作品「スリ」(1960)の紹介が
なされるのですが、そこがまた中村さんの『掏摸』を思い起こさせたりもして。

しかし手法としては、やはり伊坂さんの方が圧倒的な構成力を持っていて、
テーマをむき出しに描かず、実に洗練された「読み物」的な娯楽性がある。

本当に上手い方です。
前作も必ず読んでみようと思います。

それにしても、
この天賦の才は、やっぱり文学界のミスチル・櫻井くんだと思うの。
 
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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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