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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『工場』
工場工場
(2013/03/29)
小山田 浩子

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新潮新人賞受賞で話題になった表題作。
先に雑誌で読んでた短編『穴』の不可思議な世界観が面白く、
さかのぼって読んでみました。

「工場」とは、チャーリーのチョコレート工場みたいに
その街にでんと存在する、得体の知れない工場で、
まるで豊田市におけるTOYOTAのように
圧倒的な支配力を持った、大企業の工場なのです。


 
主人公は、時を前後して工場に採用され、
それぞれ配属された部署に勤務する3人の男女。

一人は大学教授の紹介で、コケによる緑化を研究課題とする
新設の部署に、ただ一人きりで勤務する高給取りの男。

二人目は、まるで選挙の投票台のように三方を囲まれた机で
毎日延々と続く校正作業をやらされる派遣社員の男。

三人目は、校正係の妹で、契約社員として採用され、
朝から晩まで、ひたすらシュレッダーで書類を粉砕する女。

工場は巨大すぎて、何を作っているのか
どのように機能しているのか、誰にもわからない。
広大な敷地内には道路や橋があり、工場の建屋のほかにも
住宅地や繁華街まである異空間が続いている。

その中で「歯車」であることさえも実感できず、
与えられた仕事の意味もわからぬままに
意思をはく奪されて働き続ける人びと。

そんなシュールな世界が淡々と描かれ、行き着く先は
・・・こんなオチであったか、と愕然とさせられる。
そのブラックさをもって、初めてこの小説の怖さを知るのです。


同時に収載された他の2作は、連作のような形で、
とあるオフィスの人間模様が多面的な視点でリアルに書かれた作品です。

こうして数作読んでみると、この人の作品には、
どこか一般世間に溶け込めない不器用さを持って
出口を見出せないまま、特に見出そうともしないまま
片隅に目立たず生きる人びとが据えられている。

『スタッキング可能』の松田青子さんと似ているようで違うのは、
松田さんはそれを「群れ」の中にある、無色無臭の個々として、
客観的に傍観的に描いていたことかな。

小山田さんは、そういう個人をそれぞれの内側から
丹念に、緻密に差別化して描いていこうとする。

明るくはない。元気がもらえる小説でもない。
けれど、群衆の中の孤独感や、周囲と隔絶した自分に
向き合うような感覚は、どこか抗いがたいものがあります。

表現力も洞察力も優れた、とても上手い方です。
売れセンでないかもしれないけど、先が楽しみな実力派。
  
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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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