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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『ミス・アイスサンドイッチ』
新潮 2013年 11月号 [雑誌]新潮 2013年 11月号 [雑誌]
(2013/10/07)
不明

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川上未映子さんの短編が好評で、ちょっと
読んでみたくなりました。
 

 
主人公は小学生の男の子。名前は定かでない「ぼく」。
学年はたぶん4年生だけど、そこいらの乱暴なガキでも幼稚なガキでもなく、
一見おとなしく内省的な、繊細な感情を持った男の子です。

彼のそんな気質には、育った環境が大いに関わっていそう。
幼くしてお父さんを亡くし、おばあちゃん(=お父さんのお母さん)、と
お母さんと3人で、お父さんの実家で静かに暮らしている。

お母さんは怪しげな占いを生業としていて、おばあちゃんが寝たきりに
なったのをいいことに、あるとき勝手に自宅の一部を改造して
いろんな悩みを持ち込む顧客の相手をそこで行うようになった。

「ぼく」は母の関心の外に置かれている。だから、もう余命いくばくもないと
思うのだけれど、おばあちゃんの枕元で彼は多くの時間を過ごし、
かすかな顔の動きに、深い愛情に満ちた思いを見出して安心する。

そんな「ぼく」が、なぜか最近目を離せないのは、近所のスーパーでサンドイッチを売る
お姉さん。真っ青なアイシャドーをまぶたにたっぷり載せた個性的なメイクで
人目を引かずにおけない強烈な風貌の彼女が、「ぼく」はとても気になっていて、
その青さをアイスに見立てて「ミス・アイスサンドイッチ」とひそかに名付けている。

皆からどこか蔑まれる彼女を、「ぼく」は恋とは呼べないけど好意的な感情で
とらえ、日々サンドイッチを買いにいく。それを知るのはおばあちゃんだけ。

ところがクラスメートの一女子「ヘガティー」と関わるようになって、
お母さんのいないヘガティーは、どこか「ぼく」と波長があって、
しだいに「ぼく」の心に潜む、無意識下の寂しさや不安をするすると引き出していく。

・・・・

もちろん、小学4年生の男子なんて、普通はこんな考え方をしない。
どこにでもありそうな学校、家、スーパーは、彼のおとなびた視線では
どこかファンタジックな異国の世界に見える。静かにそこで生きる人びとも
現実感は薄く、誰もがスクリーンに登場する映像のよう。

けれど、それだけに「ぼく」の純粋な感情が、
愛する人を求め、失うという哀しみと諦めが、
ちょっと早すぎる経験として、幼い人生の中で際立っていく。

誰の心の中にもあるそれは、子どもの姿を借りた大人の哀しみでもある。

完成度の高い小説ではないかもしれないけれど、
作家の感性が素直に伝わる、いい小説でした。
川上さんの他の作品も読んでみたくなりました。
 

 
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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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