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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
山口果林『安部公房とわたし』(講談社)
安部公房とわたし安部公房とわたし
(2013/07/31)
山口 果林

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僕にとっての安部公房のイメージは、モジャモジャ頭に黒縁の大きなメガネをかけた
「ラーメン小池さん」そっくりの風貌。前衛的と言うのか、わけが分からず難しい小
説や戯曲を書いている作家。山口果林のイメージは、一言で言って「クールビュー
ティ」。女優としては、NHK連続テレビ小説「繭子ひとり」の薄幸の美少女の記憶
はおぼろげで、映画「砂の器」で加藤剛と政略結婚する娘役でしょうか。


そんな二人が初めて出会ったのは、1966年3月。山口は桐朋学園大学短期大学部演劇
科の受験生、安部はその試験面接官でした。教師と生徒という関係で始まった二人の
付き合い。この当時の関係を、山口は、「安部公房への全幅の信頼と、包み込んでく
れる安部公房に、精一杯応えたいという強い思い」がすべてだっと回想しています。
こうした教師としての、あるいは作家としての安部への尊敬の念は間もなく恋愛感情
に変わり、ほどなく二人は安部の箱根の別荘を愛の巣として、ともに暮らすようにな
ります。以来、1993年1月に安部と死別するまで、二人の秘められた関係は続くのです。

二人の関係を知っていたのは、安部の妻と一人娘。そして、安部担当の新潮社編集者
だけ。妻子と別居し離婚を望む安部に対し、二人の関係を理解したうえで、この編集
者はこう言い放ちます。「ノーベル賞の受賞までスキャンダルなど起こしてほしくな
い」。しかし、安部が重病で入院し、余命が長くないことを感じた彼は、ついに二人
を結婚させるよう妻子に働きかけることを約束します。安部公房が亡くなったのは、
次の日でした……。

安部没後10年の後、2003年。二人の良き理解者だったこの編集者が病没。そして、今
年、2013年。山口果林の手による本書は刊行されます。20年という時間のフィルター
にろ過され、山口の感情はさらさらの透明なものに還っていました。不倫行為に他な
らない恋愛関係や、正妻との泥沼愛憎関係を描いていますが、そこにはドロドロとし
た感情の吐露はなく、驚くほどサバサバと描かれています。作家と女優のスキャダラ
スな関係を期待するゲスな読者にとっては肩すかしをくらった感じでしょうが、僕は
レポートを読んでいるようなこの感覚は決して不快なものではありませんでした。

安部公房が山口果林から受けた尊敬と愛情の日々を、これからの人生で僕もすごすこ
とができるものならば、たとえそれが「不倫」と指弾されるものであっても、悪魔に
魂を売っても構わないと思います。

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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