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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『シュリーマン旅行記 清国・日本』
シュリーマン旅行記 清国・日本 (講談社学術文庫 (1325))シュリーマン旅行記 清国・日本 (講談社学術文庫 (1325))
(1998/04/10)
ハインリッヒ・シュリーマン

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ハインリヒ・シュリーマン。
トロイアの遺跡を発掘した、あのシュリーマン大先生の最初の著書は、なんと幕末日本の旅行記で、日本語訳もばっちり出ているのです、と聞いたら、手を出さずにはいられまい。
 

『シュリーマン旅行記 清国・日本』(石井和子/訳 講談社学術文庫 1998年)。
原著 "La Chine et Japon au temps présent" は、1866年、パリで発刊された。
シュリーマンはトロイア発掘の6年前、商売に区切りを付け、世界漫遊を志してインドを経由して北京と上海に滞在した後、慶応元年6月のおよそ一月の間、主に横浜と江戸に滞在した。
薩長連合が今まさにできようかといった頃で、坂本龍馬が精力的に走り廻り、土佐の武市半平太が処刑された直後、そんな時代。

その頃の江戸は、尊王攘夷の動き激しく、ほとんどの外国人は身の安全のために江戸を引き払って横浜に移っており、お江戸に残っていたのは、米国公使の代理公使、ポートマン氏くらいであったという。
シュリーマンは、グラヴァー商会の友人を通じてポートマン氏の正式な招待状を発行してもらい、やっとのことで護衛付きで江戸に入ったそうだ。

この国は、恐らく世界で最も清潔感にあふれ、人々みな職務に精励し、誰一人賄賂は受け取らず、家屋敷には必ず小さくても見事な植栽が施された庭があって、驚くほどの工芸技術を持ち、
しかしなぜか多くの人々は半裸に近い格好で(つまりフンドシ一丁だったり諸肌脱ぎであったり、着物のケツをからげていたりしたのだろう)、市民が一日に必ず一度は通う風呂屋では、驚くべきことに男女が当たり前のように混浴し、それで何ら問題が生じない。
惜しむらくは、彼らがキリストの教えを知らず、文明化がされていないことである……

彼の目に映った日本、および日本人は、ざっとこんなものであったようだ。

それ以前に滞在した北京・上海の堪え難い不潔と頽廃を見たあとでは、ここはなんて清冽な小国なのだ!と思ったことだろう。
(しかし無論、清朝末期の、阿片で今にも崩壊寸前の社会と比べること自体が酷なことなのだろうけれど。)

特に、初めて見るものの大きさや数など、数字の細かさが特徴的だった。
シナの罪人につけられた首かせは1.33m四方の板であること、上海の劇場は間口が27m、奥行き30m、何脚の椅子がついたテーブルが何個、ベンチとソファが何人分、江戸の役人の乗る馬の鐙の大きさ何インチ、加賀と薩摩と尾張と陸奥の殿様の年収何万何千石ををフランに換算するとそれぞれどのくらいと、時には目録の類いまで取り寄せて、そこに書かれた記録を書き留めている。
当時はまだ日本側の十分な通訳兼案内人がいなかったせいだろうか、日本人の直接・間接のコメントや反応はほとんど書かれておらず、彼の周囲にいたであろう人物の名前もないが、警護の侍に身辺を固められるわ、宿では就寝するまで村人の視線に取り巻かれるわの状況でも、不満らしき表現はほとんど出て来ない。
彼シュリーマンが相当辛抱強い性格だったこと、そして何より初めて見る東洋の国への真剣な関心と敬意が、文章全体からにじみでている。

訳者石井和子の手による、本書翻訳の経緯と、長崎のグラヴァー家のその後や、公使通訳ヒュースケン暗殺の顛末、そしてアテネにあるシュリーマン邸の現在のようすなどを詳しく述べたあとがきも読ませる。
全部で200ページ足らずだが、大変読み応えのある本だった。


さて、次は1920年代のパリ、ロンドンをほっつき歩いた、ジョージ・オーウェル大先生の(これも多分)処女作を読むとしよう。

講談社学術文庫:『シュリーマン旅行記 清国・日本』

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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