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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
横山信義『宇宙戦争1941』『宇宙戦争1943』『宇宙戦争1945』(朝日新聞出版)
宇宙戦争1941 (朝日ノベルズ)宇宙戦争1941 (朝日ノベルズ)
(2011/11/18)
横山信義

商品詳細を見る


皆さんは、「架空戦記」というジャンルをご存知ですか? 
東京など大都市圏の大きな本屋さんに行くと、新書ノベルズのコーナーの一角には、
必ずと言ってよいほどこうした架空戦記が配架されていますので、
目にした方も少なくないはずです。
 

 
SF小説には「時間SF」と呼ばれる一つのジャンルがありますが、その中でも「歴
史改変もの」と細分化される作品群があります。「イフ歴史もの」「シミュレーショ
ン小説」などと呼ばれることもありますが、特に日本ではSF小説の枠を越え多くの
作家が個性的な作品を発表しています。これは日本人の歴史好きが根底にあるのでは
と愚考しますが、同時にこれまた日本人特有の「判官びいき」――敗れた者に対する
思い入れの強さがあるのではないでしょうか。「架空戦記」はそれらの中でも、「も
しあの時の戦争で負けていなかったら」というテーマに特化した作品群で、扱うテー
マは「戦国時代もの」と「太平洋戦争もの」に大きく分けられます。前者は、もし織
田信長が本能寺の変で明智光秀に殺されていなかったら、もし関ヶ原の戦いで西軍が
勝利していたら、あるいは、もし大坂の陣で真田幸村が徳川家康の首を獲っていたら
……という作品が多く見られます。大半を占める後者は、もし太平洋戦争で日本がア
メリカに勝っていたら……という広いテーマのもと、各作戦ごとにシミュレーション
を加えて日本軍を勝利させたもの、現代の自衛隊がタイムスリップしてアメリカ軍と
戦うもの……など、豊富なバリエーションが楽しめます。そこでは大和・武蔵を凌駕
する軍艦や、ゼロ戦・隼の性能を越える軍用機などの兵器が登場し、山本五十六をは
じめとする軍人たちはいずれも戦略眼に秀でた優秀な軍人として描かれています。何
としても日本軍にアメリカ軍に勝って欲しかった、という僕を含めた多くの読者に愛
さている理由です。

さて、今回の三部作も「架空戦記」のカテゴリーに分類されるものでしょうが、他の
作品と大きく異る箇所があります。戦う相手が、アメリカ軍など人間ではなく、宇宙
人なのです。

1941年12月8日未明(日本時間)、ハワイ諸島真珠湾に殺到した日本海軍の奇襲攻撃
隊が目にしたものは、異形の兵器に蹂躙されているアメリカ太平洋艦隊と港湾施設群
の惨状でした。時を同じくしてイギリス・ドイツ・ソ連などのヨーロッパ、アメリカ
西海岸、そして、フィリピンなど東南アジアに出現した異形の兵器は、熱線砲を主と
する圧倒的な攻撃力で無差別に人間を殺し、建造物を破壊し、またその防御力は各国
軍隊の砲撃をはねかえてしまいます。彼我の力の差はいかんともしがたく、各国は壊
滅的な被害を受けていきます……。

先に、本シリーズが戦う異相手を宇宙人とする発想において他の架空戦記ものと一線
を画していると書きましたが、作者の隠し球はそれだけではないのです。描かれた世
界は、「かつて1900年に火星人によってロンドンが攻撃を受けた」世界、つまり、
H・G・ウェルズの『宇宙戦争』が現実にあったパラレルワールドなのです。ご存知
のように、ウェルズの小説では、侵攻してきた火星人は、地球の空気中に生息する
ウィルスに対する免疫を持たないため、「風邪」によって全滅し人類は侵略を免れる
ことができました。イギリスからの報告で、今回の敵が同じ火星人、それも万全の
ウィルス対策をほどこし、より強力となった兵器(三本脚=トライポッド、飛行兵器
フライング・スティングレイ=FS)であることを知った人類は、みずからが全滅の
危機にあることに愕然とします。

火星人撃退のために国家間のしがらみをすてた全地球的規模の防衛軍、「地球統合
軍」の設立を模索する人類ですが、時あたかも第二次世界大戦の真っ最中。国家間、
人類間の相互不信は簡単に拭うことはできず、個別の反攻作戦はことごとく失敗して
しまいます。ところが、東條英機首相の渡米で実現した日米首脳会談の結果、ついに
実現した日米連合軍はルソン島奪回の反攻作戦に勝利し、これを契機に、ついに全世
界の軍事力を結集した統合軍が発足するのです。圧巻は、統合軍による総反撃を前に
アメリカ合衆国ホワイトハウスに集まった各国首脳の顔ぶれです。アメリカ合衆国大
統領ルーズベルト、大英帝国首相チャーチル、ソ連共産党書記長スターリン、ナチ
ス・ドイツ総統ヒトラー、イタリア共和国首相ムッソリーニ、そして、東條の跡を受
けた山本五十六大日本帝国首相……昨日まで敵同士で憎みあっていた綺羅星のごとき
指導者たちが一同に集い、人類共通の敵=火星人殲滅に向けて歩調を合わせるシーン
は、シミュレーション小説の真骨頂、感動モノの名場面です。

そして。1945年11月1日、火星人侵攻から4年余のこの日、ついに始まった人類史上最
大の大反撃作戦「オリンピック作戦」――はたして、この人類の命運をかけた「地球
の一番長い日=ザ・ロンゲスト・ディ」の結果は? ボルネオ島にある火星人主力基
地を攻撃すべく集結したのは、日本帝国海軍が誇る世界最強の大和・武蔵・信濃をは
じめとする、全世界から地球統合軍に馳せ参じた戦艦・巡洋艦・駆逐艦の大艦隊、30
ミリ機銃・37ミリ機銃を標準装備した烈風・F4U・F7Fの艦上戦闘機と犬鷲・P65
の陸上戦闘機(パイロットには加藤建夫も)、そして、決戦機と位置づけられたフラ
イング・フォートレスB29の大編隊。この戦闘シーンもまた涙なしでは読み進められ
ない悲壮感あふれる名場面です。

秋の夜長、純文学も恋愛小説もミステリもいいでしょうが、たまにはこうした「架空
戦記」を読んで、もう一つの「あり得べき歴史」に思いを馳せてみてはいかがでしょ
うか。

  
宇宙戦争1943 (朝日ノベルズ)宇宙戦争1943 (朝日ノベルズ)
(2012/06/20)
横山 信義

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宇宙戦争1943: 2宇宙戦争1943: 2
(2013/09/04)
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