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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『獅子渡り鼻』
獅子渡り鼻獅子渡り鼻
(2013/01/19)
小野 正嗣

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読書会のK講師のお薦めで読みました。

あ~・・・こういう母を恋う幼い子の話は
胸がぎゅっと詰まって、つらいわホント。
 
 
尊(たける)は小学4年生の男の子。
母や兄と離れ、母の故郷をひとり訪れて夏休みを過ごす。

あるいは、夏休みだけではないのかも。
叔母とも大叔母とも続柄のはっきりしないミツコの家で
そこの子として、ここで育てられることになるのかも。

そんな不穏な空気をはらんで、尊の物語が始まります。

故郷を捨て都会に出た母は、どこの誰ともわからぬ男との間に
障害のある長男と、次男の尊をもうけて、赤貧に喘ぎながら
ロクでもない男ばかり崩れかけたアパートに連れ込む女。

母の生まれ育った海辺の街は、母が大嫌いな場所だった。
けれどそこに居を構え、長年暮らす人々は誰もが優しい。
若き日の母を知る彼らは、懐かしい思い出の中に母を見る。

それでも尊は知っている。自分が母に捨てられた子どもであることを。
知的障害のある兄に責任を負い、子どもだけで生きながらえた日々を。

海辺の街の人びとは誰も尊の傷に触れない。
ただ見守り、ジュースやアイスを買い、タコを土産にくれ、
母のいない近所の少女とともに尊を遠出のドライブに誘ってくれる。

尊はわずかな記憶に母の影を追い、母の街で
自分と兄に似た、先祖にあたる子どもの幻を見る。

自分を捨てた母を、とっくに諦めながらも胸の奥で恋い、
愛されなかった少年は、母と血のつながる人びとに守られ、
深くおおらかに愛され直そうとしていく。

・・・・

いやーつらいです。もうね、母と息子モノは。

子どもを虐待したり捨てたりする母親って最低だよね、って
そう憤って言い切れるなら、割と気持ちの整理はカンタンなんですが。

母は強し。
その言葉は多くの女性にとって人生最大のプレッシャーだと思う。
子を産んで当たり前。
自分を犠牲にして子を守るのが当たり前。

でもね、男がいつまでも子どもであるように
女も本当は子どもなんです。未熟な人間なんです。

子を産んでから心と体にムチ打って、恥をかき、何度もつまずいて
時間を重ねた結果が、子どもの成長となり、母親歴となるのです。

子どもが成長した今になって、同じ年頃の母親友達とよく話すのは
「なんでもっと優しい母親になれなかったんだろう」ってこと。
若き日の自分を悔やみ、叱咤したい気分になる。

もちろん、大方の母親は子どもを捨てたりはしません。
でも「自分はダメな母親だった」って責めの思いは多かれ少なかれ
誰でも持ってるものだと思うんですよ。

子育ては自分育てというけれど、育つ子に赦しを乞いながら
胸の痛みを抱えて母親となっていくものだと。
だから酷い母親を、ただ「酷い」となじることができないのです。

それでも、この小説に救いを感じるのは、
子どもはどうあれ、未来を持った存在だということ。
母との訣別があまりに早くても、少年は自立のときを迎えるのだということ。

母に代わる人びとの支えの中で、善意と愛に満ちた場所で
きっとまっすぐ少年は育っていくのだろう、

そんな希望が残る、救いある小説です。
 
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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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