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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『あのひとは蜘蛛を潰せない』
あのひとは蜘蛛を潰せないあのひとは蜘蛛を潰せない
(2013/03/22)
彩瀬 まる

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彩瀬さんもまた、「女による女のためのR-18文学賞」から出た方で、
この作品は、その後短編などの発表を経てからの書き下ろしです。
 
「静かなのに鮮やかな小説」と
山本文緒さんの推薦文が帯にあるように、
 
 
確かに、大きな出来事などは何も起こりません。
30歳を目前にした、どこにでもいそうな独身女性、梨枝をめぐる物語。

離婚家庭に育ち、兄が家を出た後、母と二人で実家に暮らしつつ、
チェーンドラッグの店長として過酷なシフトで勤務し、
高校生バイトから年上の部下までを率いる立場にある。

穏やかだけれど刺激のない毎日。

梨枝の鬱屈は、いろんなところに起因している。
過干渉な母、反抗的な従業員、問題の多い客。
唯一、彼女を癒してくれるのはただ一人、一回り年下の恋人の三葉くん。

決してドラマティックな小説ではない。
親兄弟や嫁姑の確執も、職場でのストレスも、不確定要素の多い恋愛も
どれも日常的で、ごく当たり前なテーマにすぎない。

けれどこの小説は、誰もが根っこに抱える鬱屈について
心のひだを一つずつめくり上げ、綿棒でこすり取るかのように
丁寧に、執拗に、描いていこうとするのです。
そこに、この方ならではの繊細さと筆力を感じます。

しかしそこに深い共感を覚えるかと言えば、うーん。
確かに理解できる感情ではあるのです。が、なぜそこまで
個々の鬱屈を穿り返して、互いに共有しようとするのか。
他の人間を理解するためには、そうしなければならないのか。

そこが年代差といいましょうか、生い立ちがパーフェクトなんて人は
確率的には非常に低く、誰だってその人なりのコンプレックスや
葛藤を抱えて悩み苦しみながら育ってきたわけでしょう。

だけどそういう背景を、むしろ自分の個性の拠り所にし、
悩みや苦しみをそうとは認識しないやり方もある。
すなわちネタにして生きてく手もあるやん、てことです。

苦悩する自分、って100%じゃないでしょ?
悩み多き年頃を過ぎ、良くも悪くも適度に力の抜けた今の私としては
大方のことに傷つかない努力を知らず知らずのうちにしていて、
「鈍感力」を育ててきてる。暗いものの裏にある滑稽さを認めている。

梨枝の周りの人々、母も兄も義姉も、お店の従業員も恋人も、
それぞれの苦悩を乗り越える術を得て、穏やかに生きていく。
結局のところ、日常の中で小さな進歩を続けて
力なき者は寄り添いながら生きていくのだ、という流れは

んーやっぱり、まだまだ揺れるお年頃向けかしら。
と、少しさびしくも思ったのでした。

とてもいい作家だけに。
 
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テーマ:小説 - ジャンル:小説・文学

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