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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
鷲田康『10・8 巨人VS中日史上最高の決戦』(文藝春秋)
10・8 巨人VS.中日 史上最高の決戦10・8 巨人VS.中日 史上最高の決戦
(2013/03/09)
鷲田 康

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初めにお断りしておきますが、僕はサッカーにはまったく興味がありません。
オリンピックとかワールドカップなど、日本代表チームの試合を見ることはありますが、
国内Jリーグの試合や外国との試合などは見たことがありません。
したがって、よっぽど有名な選手以外は名前も顔も知りません。
なぜ、あんなにサポーターと称する人たちが観客席や街なかで大騒ぎしているのか
理解に苦しみますし、結果、「お巡りさんは良い人」みたいな風潮が作られていることに、
権力側によるマスコミを使っての大衆操作の意図を感じてしまいます。

というわけで、僕は野球派です。


ともに相手よりより多くの得点を取ったほうが勝利するスポーツでありながら、
原則、野球が「決められた回数内」での得点差を争う勝負であるのに対し、
サッカーが「決められた時間内」での得点差を争う勝負であること。
野球が投手対打者の一対一の勝負、つまり個人戦的な構図であるのに対し、
サッカーが攻撃陣・守備陣くんずほぐれつの集団戦の様相を呈しているところなど、
両者には決定的な相違が見られると思います。

古来、心技体を極めた武芸者同士の一対一の真剣勝負に勝敗を越えた美学や精神性を
求めてきた日本人、スポーツに「道(どう)」という概念を与えてしまった日本人にとって、
野球はその国民性に合致したスポーツとして愛され続けているのでしょう。

そして、プロ・アマを含む野球の頂点に君臨する日本プロ野球は、
国民の期待に応える数多くの名勝負を見せてくれました。本書が扱っている、
1994年10月8日、ナゴヤ球場で行われた読売ジャイアンツ(巨)人と中日ドラゴンズの試合も、
日本プロ野球史上に残る最高の試合なのです。


1994年のセリーグのペナントレースは、巨人と中日がともに69勝60敗という同じ勝敗数、勝率で並び、
両チームの最終直接決戦が優勝の行方を決める戦いになる劇的なシーズンでした。
第二期長嶋茂雄政権のもと、槇原・斎藤・桑田の投手三本柱、落合・原・松井の打撃陣を擁し、
優勝を決定づけられている巨人。
絶対エースにして巨人キラー今中、立浪・大豊・パウエルらの獅子奮迅の活躍による土壇場の連勝で
首位に並んだ高木守道監督率いる中日。
負ければ更迭されることが確実の両監督の采配、130試合目ですべてが決まるドラマ性――
日本中のプロ野球ファンが注目する試合は、1994年10月8日、午後6時、プレーボールが告げられました……。


本書は、実際にプレーした監督・選手はもちろん、裏方のスタッフや経営者たちからの
綿密な取材にもとづき、試合の経過を緊迫した筆致で描いていきます。
「1回 長嶋茂雄の伝説」に始まり「9回 長嶋茂雄の約束」に至る章立ては、
野球の一試合を構成する9回の攻守にちなんだ構成になっています。
そこでは試合の経過を追うだけではなく、各回のポイントとなったプレーを演じることを
野球の神様から運命づけられた選手がクローズアップされ、人間ドラマとしての広がりや重みを与えています。


この試合を「国民的行事」と語り、選手へのイメージトレーニングを徹底させ、
奇策ともいえる3人のエース投入策など、非日常を演出した長嶋監督。
「いつも通りにやれば必ず勝てる」と、ローテーション重視の作戦にこだわった高木監督。
この両監督の方針や姿勢が、結局は試合の流れを作り、勝利と敗北を決定づけることになるのですが、
助っ人としてのプライドを賭ける落合、デビュー2年目で幸福な緊張感を味わった松井、
ドラフトの十字架から解き放たれた桑田ら巨人軍選手、まさかの結果を生んでしまう今中、
平常心をなくしていた立浪ら中日選手のドキュメントも読み応えたっぷりの面白さです。


そして、終章で明らかにされる、監督・選手・裏方たちのその後の人生模様を読むと、
この10・8決戦が、単にペナントレースの行方を決めただけの試合ではなく、
関わったすべての人々の人生や運命を左右した戦いであったことがわかります。
人が生きている中で、何度か出会うであろう人生の分岐点――野球人として
その場に居合わせた彼らの幸福に嫉妬すら感じてしまいました。
  
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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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