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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『ここは退屈迎えに来て』
ここは退屈迎えに来てここは退屈迎えに来て
(2012/08/24)
山内 マリコ

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ハイ! 今年のベストです!

なんでしょう、この肌が合う感じ。
とことんとん。
 
 
これがデビュー作となる山内さんは、2008年にR-18文学賞読者賞を受賞された方です。
その受賞作をベースに、地方都市で生まれ育った“女子”8人の物語を、
オムニバス形式で描いたのが本作です。

ここに出てくるヒロインは皆、今や30代初めの女性なのですが、
それぞれの短編は、現在であったり、女子高生や女子大生時代であったりと、
さまざまな時制がランダムに描かれています。それゆえに、
そのまとまりとしての女性像が、ぐんと厚みを持って浮かび上がってくるのです。

知り合い同士でもない彼女たちが共通して関わる人物が、
「椎名くん」
物語の主役ではないものの、彼はいわば実在する「桐島」です。
憧憬の対象、青春の輝きの具現。

中高時代はスポーツ万能で何をやってもサマになり、
周りには男女を問わず常に人の輪があり、フレンドリーなのに、
そのくせ飄々として、自らは何にも執着しない椎名。
30を過ぎて「普通の人」になっても、自然体のまま変わらぬ椎名。

各短編のヒロインは、誰もが地方都市の閉塞感に喘ぎながら
毎日くすぶって生きている。
こんな場所じゃなくて、こんな自分じゃなくて、という
自己否定は妄想に近い理想像となり、手近な快楽と引き換えに
日々の憂さをどうにかこうにかやり過ごして暮らしている。

どこにも出ていけない自分。都会に挑む自分。負けて故郷に舞い戻る自分。
どれもが同じ「わたし」であるかのように、多角的にとらえた自画像のように
痛いほど、切ないほど、若いなりの生きづらさを訴えるのです。

「椎名」は、すなわちユーミンの「卒業写真」に出てくる「あなた」でしょうか。
「人ごみに流されて変わってゆく私」を「ときどき遠くで叱って」くれる。
もちろん、椎名は誰の思いとも関わりなく自分を生きてるだけの人なんだけれど。

いやー、作者の内にも外にも向いた観察眼が鋭すぎて。
青春小説なのだけれど、男性作家のようなロマンチシズムはなくて
ただもう現実的。甘さなどカケラもない、シビアな女性の眼なのです。

それでいて、もはや真っ白ではない大人のオンナになっても、
少女のころのプラトニックな純情を宝石のように胸の奥にしまってる、
そんなイタさ、可愛さが、これまた胸きゅん、でもあり。

・・・・

実を言うと、受賞作の「十六歳はセックスの齢」をラストにした構成は
少々無理もあり、後から書き下ろした短編の方が圧倒的に優れています。

なおかつ、R-18文学賞という性質上、エッチな性描写ていうのがお約束なんで
受賞作にはそこをメインに組み立てた苦労感がかなりある。

はじめから全体の構想があれば、もっと完成度が高いんだろうけど、
それにしても受賞後、書けない苦しみを乗り越えてまとめた作品としては
この人の才能が十二分に感じられるものになってると思います。

次の作品を、すぐにも読みたいです。
 
あそーそ、
「椎名くん」はやっぱり綾野剛くんで。
 
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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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