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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『土の中の子供 』
土の中の子供 (新潮文庫)土の中の子供 (新潮文庫)
(2007/12/21)
中村 文則

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そんなわけで、中村さんの芥川賞受賞作です。
時系列など関係なく何作か読んできたのですが、
うん、これでちょっと一休みかな。


中村さんの作品は、親の愛を知らぬ施設育ちという付帯条件が
主人公に与えられてることが多いのですが、
これはまた、天童荒太も真っ青な児童虐待モノで
彼の描く心の闇にふさわしい生育環境にあった
タクシー運転手の青年が登場します。

と書いて、先に思ったことを言うと、やはり
デビュー作を超えるものではありませんでした。

実際の中村さんは、自身もインタビューで答える通り
作品とはギャップのある、明るく礼儀正しい好青年で、
もちろん、その奥には青年期に誰もが抱える苦悩を
持っていて、むしろ素直に育ったがゆえに観念的な闇を
ストレートに創作できるのだろうと思います。

『銃』は粗削りなところもあるけど、その力強さが
純粋に伝わってきたから、この先が大いに期待できた。
でも、同じ心の闇を違う角度で書いていくだけでは
どうしても物足りないというか、引き出しの少なさを
感じさせるというか。それなりに人生経験に裏打ちされた
幅も奥行きも膨らんでくるものを読みたくなるんですよね。

もちろん感性はすごくいいのです。
例えば今作に出てくる「物を落とす」行為。
マンションのベランダから缶コーヒーを落とす。
その瞬間の、取り返しのつかない、破壊的な
ささやかな悪の誘惑。

それは「銃を撃つ」行為と同じ欲望が根っこにある。
缶コーヒーから、より大きな物へ、小動物へ、
やがては自分自身へ、という病的な興奮が
悪を介して募っていく心の流れは非常に上手い、
書く力のある人だなあと思わせる。

最初に『何もかも憂鬱な夜に』を読んだとき、
思春期を乗り越えきれずにきた三十代、て
感じがしたんだけど、その印象はやっぱり
変わらないなあ。

でも、こういうストレートな路線って、
普遍的だし、幅広い世代も取り込んでいくから
純文学の人気作家という難しいポジションを
物にしてるのかもしれない。

また違うテーマを描くことがあったら
その変化を楽しみたい方ではあります。

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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