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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
柴田哲孝『国境の雪』(角川書店)
国境の雪国境の雪
(2013/02/01)
柴田 哲孝

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よく「事実は小説より奇なり」と言いますね。確かに最近の世の中の動きは、
そんじょそこらの小説を越えた思いもよらないような出来事が立て続けに起こっている感じがします。
小説家の想像力をはるかに越える勢いで世界が動いていることをひしひしと感じる今日このごろです。
だけど、才能ある作家の何人かは、そうした現状を物ともせず、
「小説をしのぐ事実」を越えた「小説」を発表しているのです。
そんな稀有の作家による傑作が、本書『国境の雪』です。
はっきり言って、現時点での本年度ベスト1です。



物語の軸はきわめてシンプル。A地点からB地点まで、さまざまな障害やトラブル、
危機を乗り越えて依頼品を送り届ける――まさしく冒険小説の王道を貫く展開です。

北朝鮮の存亡、いやそれ以上に東アジア全体の情勢を一変させる極秘情報を携え脱北し、
中国に潜む女性。日本諜報機関の密命を受け、彼女をガードし中国からの脱出を目論む日本人工作員。
そして、中朝それぞれの思惑から二人を執拗に追う北朝鮮秘密警察と中国防諜課員。
ただし、古典的冒険小説と異なり、舞台は現代。
二人を取り巻く環境は、世界の果てまでインターネット上をリアルタイムで情報が行き交う高度な情報化社会。
変装も、隠れ家も、逃避行も、ミスとも言えないようなほんのわずかのほころびから
明らかになってしまう状況下、果たして無事に逃げ切ることができるのでしょうか。

作者は本作をフィクションとしたうえで、固有名詞には「できる限り実名」を使用し、
エピソードは「すべて事実」に基づいている、とのただし書きを入れています。
実際、日本・中国・北朝鮮・韓国・アメリカ・ロシアの首相・国家主席・大統領など、
政治の表舞台にあらわれている人物はすべて実際の政治家たちですし、二人の逃避行の三年間、
2010年から2012年までのリアルな世界情勢はそのまま物語に反映されています。
こうした「事実」に裏打ちされながら、作者の途方も無い想像力は、裏の社会=諜報機関に棲む
男たちの謀略と陰謀をリアリティたっぷりに描いていきます。
表向きの国際関係、それ以上に冷酷な裏社会の取引関係に翻弄される二人の運命。
二人は、無事に国境を越えることができるのでしょうか。

ウソのようなことをもっともらしく書いて、
私たち読者を楽しませてくれる――小説本来の娯楽性を十二分に満喫させてくれる一冊です。
 
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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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