♪おすすめ Blog

カテゴリ

最新コメント

Link

ブックオフオンライン【PC・携帯共通】

このブログをリンクに追加する

プロフィール

おもしろ本棚

Author:おもしろ本棚
読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

検索フォーム

月別アーカイブ

QRコード

QR

おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『abさんご』
abさんごabさんご
(2013/01/20)
黒田 夏子

商品詳細を見る

 
ううん。評価の難しい本です。

何かと話題の芥川賞作品ですが、
Amazonレビューで賛否両論なのもよくわかる。 
 
あ、ちょっと内容バレます。
 

 
内容に入る前に、この本のツクリが斬新で。

受賞作は横書きなので左扉から、他の収録作品は縦書きなので右扉から、
というリバーシブル本で、腰巻きもタテヨコに書かれ、
ノンブルは左右からという、目録作成者泣かせの本です。

で、まずは受賞作です。
横書きかつひらがな文体の読みにくさは覚悟してましたが、それを真似て表すと

それはまるで煉瓦じきのみちをはしろうとして, ともすればくつさきが目地に
ひっかかりそうなのをこらえて, やはりそろりそろりとあるくよりほかはないのかと、
ひとつひとつふみこえてただただみちのおわりまでたどりつくというぐあい.


て感じでしょうかねー。
前衛的な文体=挑戦的という面が、良くも悪しくも評価の論点となりがちですが、
正直にいえば、読者が読みにくいものであることは否めません。

ただそこに作家のこだわりがあるのならば、それは何かと読み進みましたが、
私的な感想を述べると、散文詩のようでありながらリズミカルではなく、
ひらがなの美しさが決して際立っているわけでもない。

ひらがなにこだわる中に、漢字で表す語が渾然としているのは、
文章として意図するものを伝えるためにはしょうがないのだろうけど、
古語的な言葉使いもあるかと思えば、固い熟語も混じりあい、
全体的には、やはり違和感の残る文章ではありました。

しかし、同時収録の昭和30年代の読売文学賞の受賞作は
縦書きで普通に書かれているのですが、そちらに流れる筆運びも
やはり時を隔てた最新作と共通するものがあり、併せて読むことで
この方の芯にある世界観というものが、にじみ出てくる気もします。

そういう前提で、物語としての内容に触れれば、
『abさんご』の登場人物は名前も性も持たず、ただ年齢と
その家における個々の役割だけが表記されて、おそらくはそのひとり娘が
戦後間もない時代から今日にいたるまでの日々を語るお話です。

幼い日に母を亡くし、ごく最近に父を亡くす日を迎えるまでの
ひとつの家族の時代が、昭和の世の移り変わりとともに
郷愁をもって、時間を前後させつつ描かれていきます。

しかし物語には、もうひとり「家事がかり」という他人が割り込んでくる。
それは、どこまでいっても主人公の娘には、父と娘の障害物であって、
家がのっとられていく(彼女はそう思う)さまを苦々しく語る様子は
狭量といえなくもありません。

併せて過去の作品の短編3作を読むと、やはり主人公のタミエという少女は
人との交わりの輪っかからは少し外れたところにいて、
そのことを哀しいとも辛いとも思わず、ただ受け入れていて
心のベースに諦念と呼ぶべきものがあるのです。

つまり、根本的に暗い。

『abさんご』もまた、老境から過去を振り返るというよりは、
人生の流れの奥底に、変わらずある「あきらめ」があって、
文体よりも何よりも、そのことが私の読後感をとても侘しいものにしました。

というわけで、作品としては画期的だし、これを落選させなかった
審査委員の方々は高い見識をお持ちなのでしょうが、
・・・次を読みたいとは思わないなあ。


余談ながら、腰巻きについてる作家近影っていうのが。。

IMG_2739.jpg

受賞会見時にはとても若々しい印象の方だとお見受けしたのですが、

「最高齢」って文字にふさわしく??
この写真をあえて使う出版社のあざとさに、ちょっと憤慨。
 
スポンサーサイト

テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバック URL
http://marmadays.blog2.fc2.com/tb.php/561-9ef2492e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)