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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
平田オリザ『幕が上がる』(講談社)
幕が上がる幕が上がる
(2013/01/25)
平田オリザ

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青春小説、それも高校生小説の名作が、また生まれました。
地方の男女共学高校の文化部を舞台にした、絵に描いたような正統派青春小説です。
全編を通して、ただひたすら部活動にひたむきな少女たちの姿を描く内容は、
まさに直球ど真ん中勝負の王道を行くもの。その潔さがまず素晴らしい。



北関東(群馬県ですね)の男女共学進学校の演劇部のほぼ一年を、
3年生女子・さおりの視点で描いていきます。
演劇部の目標は、もちろん全国大会での優勝。しかし、そこにたどり着くまでには、
地区大会、県大会、ブロック大会を勝ち抜いていかなければなりません。
また、年度きざみの関係から、全国大会の開催は翌年の夏休み。勝ち進んでいったとしても、
3年生のさおりは翌年に行われる全国大会には出ることができないのです。

悩みながら、部長として、また作者・演出家としてまっすぐに前を向いて歩んでいくさおり。
お姫様キャラで演技派のユッコ、ムードメーカーでちょっと変わり者のガルル。
そして、県内の演劇強豪校から転校してきたクールな中西さん。青春小説王道のキャラ、4人娘に加えて、
部の副顧問として指導にあたる、かつて大学演劇界で名をはせた美人新任女教師。
下級生の男女部員も、一生懸命の頑張り屋ばかり。頼りない顧問の男子教師、
人生の深い知恵をさりげなく披露してくれる老教師や、みずからの青春時代をさおりにダブらせる母親など、
脇を固める役者陣もいい味を出しています。さすがは、現役劇作家・平田オリザ。

そう、この小説に登場する高校生や教師はみんないい人ばかり。
体罰やシゴキはもちろん、部内のイジメやねたみ、嫉妬、足の引っ張り合い、
恋のさやあてみたいな「負」の要素はまったく出てきません。
このあざといまでの演出に対しては――こんなにさわやかで頭の良い前向きな高校生なんて
本当にいるのかよ、と突っ込みを入れたくなってしまいますね。

全国大会に向けてさおりたちが演じるのは、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」。
この古いけれども、永遠の命を保ち続ける名作を、脚本と演出をまかされたさおりは、
試行錯誤をくりかえしつつ、自分たちの「銀河鉄道の夜」へとバージョンアップしていきます。
演じる部員たちも、演技でさおりの期待に応え、ついに迎える地区大会……。
原作があって、脚本家がいて、役者がいて、演出家がいて、裏方がいて……それを観る観客がいて、
こうやって一つの「芝居」ができあがっていく。
誰かが投げたパスを受け取り、それを絶妙のタイミングで次の誰かに投げ返す――
最高のパフォーマンスで地区大会を突破したさおりたちですが、
運命は思わぬ方向に彼女たちを導いていくのです……。

「私たちは、舞台の上でなら、どこまでも行ける。
どこまでも行けるから、だから私たちは不安なんだ。その不安だけが現実だ」

夜行特急に乗ったさおりたちが語り合う、夢のようなエピローグ。
さおりたちを乗せた列車はどこまで行くのでしょう。さおりたちは、どこまで行けるのでしょう。

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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