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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『人間仮免中』
人間仮免中人間仮免中
(2012/05/18)
卯月 妙子

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統合失調症で自殺未遂を繰り返す、元AV女優・漫画家の
実体験をもとにしたコミックエッセイと聞いて、
かなりキツイ内容とは予想していたのですが、
1ページめから、あちゃーと思いつつ読んでるうちに

泣かしてもらいました。
年の終わりに ぼろぼろ泣けた1冊になりました。

大晦日だけど書くぞー、長いぞー。 
 
 

 
卯月さんは20歳で結婚・出産した後、夫の会社が倒産し
生活のために入ったAV業界、それもスカトロを主とするカルト系作品で
名を売った方のようです。

その後夫婦関係がボロボロになり、夫は自殺。
彼女は一人息子を故郷の両親に預け、
背中に刺青を背負いながら舞台女優、漫画家として仕事をし続けます。

その苦しい生き様の根底には、統合失調症という持病があります。
小学生時代に発症して中学時代には初めての自殺未遂をした彼女。

以後、投薬を続けながら、妄想、不安、幻聴・幻影、自殺・他殺願望と闘い、
36歳のとき、25歳年上のカタギの勤め人のおっさん「ボビー」と出会います。
この本には二人が激しい恋に堕ち、生きていく日々が切々と描かれているのです。
絵柄はコミカルなタッチですが、一コマ一コマがいろんな意味でキツイです。

どれだけの愛を得ても、彼女はパニックをおこし、唐突に死を選ぶ。
リストカットは数知れず、舞台で喉を掻っ切ったこともある。
そんなある日、彼女はついに歩道橋から車道めがけて身を投げてしまうのです。

しかし死ななかった。

顔面を打ち砕かれて片目の視力を失い、手術を重ねても顔は変形したまま。
そんな中で、生き続ける意欲を、彼女はボビーの愛の力で取り戻していきます。

仕事ができても三度の結婚に失敗し、老いの自覚に苛まれるボビーは
支配欲など持たず、ただただ献身的に、物心両面で
彼女の身内以上に寄り添い、全身全霊で彼女を守ります。

ボビーが、別人と化した顔で退院した彼女の体を何のためらいもなく、
当たり前の欲望をもって抱いたこと、それが彼女に生きる自信を与えるのです。

ボビーだけでなく、彼女の父母や息子は、温かい人ばかりです。
彼女はそれに恩義を感じ、感謝している。でも、病気はままならない。
あとがきを読むと、今の投薬量はさらに増えていて、ますます困難で重い症状と
闘っている様子が伺えて、胸が痛くなります。

それでも、この本には愛が満ち溢れている。
25歳離れた内縁カップルの、心と体のつながった
深い深い愛が満ち溢れているのです。

・・・・・・

先月読んだ『夫婦善哉』では、都合のいい女になっているとわかりながら
身勝手で不誠実な男に、どこまでも執着を見せる蝶子の生き様が
とても苦しく感じたのですが、

まともに生きられない自分を全身全霊で包み込んでくれる
ボビーのような男をしたがえる女もいる。

うーん。

私は人に頼ったり甘えたりするのが苦手な方です。
これまでを振り返れば、支える側にまわったことが何度かある。
「支える」という言葉そのものが自己欺瞞かもしれないけれどね。

私を支えにしてくれる人がいる、そのことが私自身にとって嬉しさとなる、
自分が「ここにいていい人間なんだ」と思える、それが生きる拠り所となる
ある意味、共依存であったんだろうと思う。

ボビーもまた、彼女を支えることが、失敗を繰り返してきた自分の
存在意義を確かめることになってるんじゃないかとか。

だから、「~してあげた」という思いは今もない。
辛い経験をした当人に押し付けがましさを与えるつもりはない。
私が、あなたの苦しさを少しでも和らげることができたのなら、
それは私にとっての幸せだったのです。

で。

自分が本当に苦しかったことも、何度かある。
それを私は基本的に、一人でやり過ごしてきた。
というか、一人で乗り切るしかないことばかりだったから。

それは自分を強くした、とか自立心につながったとか、
そんなふうに考えて乗り切ったわけでもあるけれども、

実際は、心に古傷がいくつもできて、イビツになったかもしれない。
苦しくて辛い経験から、立ち直れること、元通りになることなんてない。
ただ時間が、いい意味で心を鈍くしてくれる。記憶を薄くしてくれる。
不意に襲われるフラッシュバックの頻度を減らしてくれる。
だから、そうやってここまで生きてきた。

それでも、やっぱり今も誰かのために生きていきたいし、
誰かに支えてほしいとも思っている。
いくつになっても、心も体も愛し愛されていくことを
人は本当に望んでいるのではないかしら。
それが生きる力になるのではないかしら。
 

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

コメント
コミックだから。
コミックだから伝わることがある。
コミックという表現手段があってよかった。
そう思いました。

著者の人生はほんとに壮絶だけど、それでも人生はやっぱりコミカルで
一歩離れて見ることができれば、笑っちゃうようなことがたくさんあるわけで。
そういうモノ、コトのすくい取り方が秀逸なのだけれど、
そう思えたのはコミックだからではないかな、と。

ままりんのがっぷりよつに組んだ感想はすてきだと思いました。
[2013/01/10 14:18] URL | jefy #a7oJ0Vfo [ 編集 ]


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