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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『何者』
何者何者
(2012/11/30)
朝井 リョウ

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朝井リョウさん、私が読むのは3作目ですが、
高校生を描き、映画もヒットしたデビュー作の『桐島、部活やめるってよ』
都会の大学生活を描いた『もういちど生まれる』
そして就活を描いた今作と、いずれも数人の男女に視点をあてた小説は、

朝井さんという青年の成長記でもある気がして
ちょっと保護者的目線で読んでるところもあるんですが、
これはまた、心をずきっと突かれる作品でした。
  

 
学生という自由な身分を離れて社会に巣立つときは、誰もが諦観に似た気持ちを持つ。
♪就職が決まって~髪を切ってきたとき もう若くないさと・・
ってバンバンが歌ってた時代から、それは不変の通過儀礼です。
(よく考えると、就職が決まる前に髪を切るんだけどね)

内定の一報を、胃に穴が空きそうな思いで待った経験は私にもあります。
あの頃は、わざわざキャッチホンにした友達も多かった。

今の時代はPC、スマホと通信インフラが様変わりしたし、
加えてこの不景気なご時世、学生たちの就活スキルは研ぎ澄まされ、
それでいて望む企業の内定をとるのは至難のワザときています。

何十社もの企業にエントリーシートを出しまくり、Webテストを受け、
グループディスカッションだのなんだのを乗り越えて最終面接に行き着き
内定をとるまでの、現代の就活実態がひじょうに具体的に書かれているのは、

さすが現役。

そうなんです。
朝井さんという作家さんは、何かのインタビューでも
「フツーな自分に専業作家はムリ」とおっしゃってましたが、
今の自分の立ち位置で見えるもの、感じることを
「素」のまんま、飾らずに等身大の主人公を描けるヒトなんです。

その無防備さがむしろ彼の武器で、読者は心の奥にある
恥ずかしい部分をつつかれ、いてもたってもいられなくなる。

自分を売る、という人生初めての経験。
就活はハッタリと自信のなさのせめぎ合い、
受験とは違う、数字以外で人間力を評価されること。

仲のいい友達へのライバル意識、嫉妬、蔑み。
不安な人間が心の奥にしまい込む負の感情を、
朝井さんは、すべて剥き出しに見せていきます。

合間に挟まれるツイッターは、一人ひとりの建前、本音、見栄、欲を
140字以内に表して、物語の根幹を支えるツールとなっていく。

そのストレートさが彼の小説の不思議な魅力であり、力強さなんでしょう。
『桐島』が、あれだけ魅力的な映画になったのも、
余計なものがなく、エッセンスが抜き取りやすいからだと思う。

今作は『桐島』より、格段に作家としての成長を感じます。
特に終盤のどんでん返しは、ひえ~ここまで書くかという感じ。
主人公が、自らのことをあまり語らなかった理由も明らかになります。
痛くて痛くて、思わず耳をふさいでうずくまってしまいそう。

作家自身もそうして内定を勝ち取り、晴れて社会の一員となった今は
サラリーマンならではの悲哀、葛藤を、やはり「素」のまま
描いてほしいものだと期待しています。
そのためにも専業にならないで二足のわらじで頑張ってほしいなあ。

・・・

『歓喜の仔』のあとは、もっとお気楽な本を読むつもりだったのにw
しかし『本オス』を読んだ今、今年のベストにはならないけど
今冬ベストになりそうな本でした。

さて年末までにあと何冊読めるかな。
奥田英朗、吉田修一両氏の新作も出てるし。
 
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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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