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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
映画 『スケッチ・オブ・ミャーク』(公開中)
スケッチ・オブ・ミャークスケッチ・オブ・ミャーク
(2009/07/15)
Blue Asia

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宮古島に古くから伝わる歌を集めたドキュメンタリ映画が公開されると聞いて、
お、これは観てみようかなと思った。
しかし、上映館を調べようと公式サイトにアクセスして、一瞬、手が止まってしまった。

"Supervised by Makoto Kubota"。
・・・・久保田真琴かぁ・・・・・。
どうしよっかな・・・・・・。


80年代から90年代にかけて、音楽プロデューサー久保田真琴は、
パートナーだったシンガー、サンディとともに、爆発的なアジア音楽ブームの牽引者の一人だったと思う。
私個人もこのブームの中でいろいろな曲を聴いていたわけだが、
久保田真琴一派の活動は、なんとなく冷めた目で見ていた。

(以下全くの偏見なので、皆さんにはそれを承知で読んでいただきたいのですが、)
沖縄を含めた広いアジアに散らばった素敵な音楽の数々を、彼は感性の赴くままに引っぱり寄せ、
自分流のアレンジを施したうえで世にリリースし、どう?スゴいでしょ?とやっているように感じていたのだ。
スゴいのは元の音楽でしょう?
あなたはそれを材料にして味付けを変えて、別の市場に送り出しているだけではないの?
そう、当時の私は感じていたのだ。

久しぶりに久保田真琴の名前を、よりによって興味惹かれる映画のクレジットに見出してしまい、
忌々しい思いでしばし逡巡した後で、それでもやっぱり観に行くことにした。
だって、家の近くの映画館でやってるんだもん。(笑)
出無精のわたくし、これが有楽町や大森の映画館だったら、絶対に行かなかったな。


映画 『スケッチ・オブ・ミャーク』 は、
沖縄本島よりさらに南の宮古島に伝わる民謡や神歌を取材したドキュメンタリー。
「ミャーク」 とは、「宮古」 のことだ。
ただ、このタイトルはちょっと記憶に残りにくい気がする。

映画は、なぜか熊野でウクレレを抱えた久保田真琴が、
誘われて訪れた宮古で驚くほど豊穣な音の宝箱を発見し、
憑かれたように音源を採録するようになってしまったのだと饒舌に語るという、
なんともいまいましいシーンから始まる。

あぁもういいから早く宮古の音を聴かせてくれ・・とイライラしながら願っていると、
そこから展開するのは、宮古に住まう80を過ぎようかというおばあちゃんたちの、
陽気で、しかし時に寡黙な思いで語り。

お喋りはそのまま歌になり、戦争があった苦しい時代の話をしていたはずが、
いつの間にか皺だらけの顔は大きな口を開けてアッハッハと笑いだす。
始めはなんとか理解できた語りも、語り手が興に乗ってきてからは、
通訳と字幕なしでは全く理解できないものに変わってしまう。

そして、こんな歌もあるよ、あんな歌も歌ったものだと、次々に聞こえてくる、
これまで聞いたこともないような歌の数々。
たまに聴く機会のある沖縄本島の歌とは、またずいぶん違うものだった。

宮古の歌といっても、「無事に子供がうまれますように」 といった民謡から、
神聖な御嶽で神事の際にしか歌われない神歌、「ユネーク」 という労働歌など、
当然ながらさまざまなジャンルがある。
しかしそのどれもが、神職という閉じた世界のことであったり、
職能の別などで歌い手が異なるためか、今ではほとんど伝承者がいないのが現実だ。

それでも宮古は、まだ細々と神事が続いているため、他の島に比べれば、
まだかすかに現役の歌い手が残っている状態といえるらしい。
45歳を過ぎた既婚女性は、ほとんど 「くじ」 に近い行事で宮司に選ばれ、
そこから初めて神歌を習い、憶え、数年の間神事を執り行うらしいが、
映画に登場する宮司の女性は口を揃えて、その直前に不思議な出来事を経験したため、
宮司に選ばれてもまったく驚かなかった、と話す。

ほとんど素の状態で宮古に降り立った久保田真琴は、その現実に直面し、
音楽家としての魂が震えるような思いをしたことだろう。
久保田は、「洗練された沖縄の歌と違い、宮古の歌はエッジのきいたブルースだ」 と表現する。
3年の間宮古に通い、それこそ 「おばあたちのドアを一軒ずつ叩いて聞き込みを始めた」 という。

そうして集めた音源をCDに仕立て、一方で彼は、東京のホールでのコンサートを思い立つ。
高齢で歩くのも難儀するような歌い手たちが、これまた嬉々として上京したという。
そのコンサートの模様も、この映画に収められている。
正確に言えば、映画化はこのコンサートの後で決まったようだから、
『スケッチ・オブ・ミャーク』 は、映画としての完成度は高くない。
とにかく撮りためた映像、録音できた歌を、
まだ宮古の歌が途絶えていない今のうちに作品にして世に出したいという、
そんな製作者の気持ちが強く伝わってくる。


映画の終盤。
宮古の伝説的な歌い手であった男性が、島の介護施設で
意思の疎通もままならない寝たきりの状態でいることがわかり、
1970年代に録音された彼の歌を基に作った曲をCDにして、久保田真琴が会いに行く場面がある。

○○さーん。きこえる?
僕の友達の池田っていうのがね、あなたの歌をアレンジしてくれたのを持ってきました。
ぜひあなたに聴いてもらいたいと思って。
曲がかかる。
男性は、聞こえているのか、いないのか。
ただ、宙にある何かを握り締める動作をする。
カッコいいよ!あなた最高だよ!
そういって、久保田はこの年老いた元歌手の手を握り、額を押しつける。
ここでさしもの私も涙ぐんでしまった。


映画館で、さんざん迷った末、私はこのCDを購めた。
「Sketches of Myahk -blue asia-」

宮古の音楽に、ブルースやヒーリング風のアレンジを加えたもの。
帰宅してすぐ聴いた時には、しまった失敗したか、と思ったが、実はその後、
何ともいえない心地よさに、ヘビーローテーションで聴いている。
マズい、私はとうとう久保田真琴に取り込まれたのか?(笑)

上のCDで失敗!と思った直後に、ネットでこちらを注文した。
「MYAHK 宮古 多良間 古謡集1」

映画に登場する歌い手たちの歌をそのまま収録。
宮古の音楽に興味を持たれた方には、こちらの方をお薦めする。
驚くべきことに、すべての歌に歌詞がついている。
「なかやまぶ とぅゆんまぶ なりがよ セーガムヤー・・・」
つまり、全くわかんないわけだが(笑)、歌はあるだけ録ったから、
あとは研究者のみなさんに委ねます、というわけだ。
聴き終わったあとも、宮国ヒデさんの巫女のような声が頭から去らない。


人の近くに、今も神がおわす島、みゃーく。
ありがとう、久保田真琴。
あなたの仕事に感謝の意を表します。


※映画『スケッチ・オブ・ミャーク』は、都内始め、北海道、宮城、大阪、神奈川など、
2012年に各地でジワジワ公開されるようです。

上映スケジュールは、公式サイト(リンク)の「上映館」の欄をご覧ください。
 
☆44ヨシモトmixi日記 → こちらです。 
 
 
MYAHK 宮古 多良間 古謡集1MYAHK 宮古 多良間 古謡集1
(2009/06/28)
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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

コメント
私も観ました
私も映画を観ました。

久保田氏が伴奏&アレンジした古謡もよかったけど、やはり、農作業、さとうきびを伐採してたたく音に重なるおばぁの歌声がよかった。
あれこそが、ブルースだと思ったりして・・・。

「MYAHK 宮古 多良間 古謡集1」 というのがあるのですね。iTune Storeで検索したけど、やはり、でてこなった。
やはり、CDですね。私も聴いてみようっと。

情報ありがとうございました。
[2012/10/18 22:06] URL | heavenvalley #- [ 編集 ]

私も観ましたよ~。
私も多分、同じ劇場で観ました。

確かになんで熊野から?という疑問は置いておきつつ、江戸時代からの薩摩の支配と重い税金の生活の中で、祈るような笑うような宮古島に住む人達の歌は心に染み入りました。

インタビューやドキュメンタリーは、確かに構成も今一つで、中だるみするような部分もありましたが、宮古島の人達の熱やその熱を伝えようとする製作者の気持ちが伝わってくるような映画でした。

私は、初日に観に行って監督さんが挨拶されていました。物腰やわらかい、沖縄とは関係ない顔立ちのイケメンでした。

サンディ&サンセッツや夕焼け楽団(とかYENレーベル?)のことを、そんな風に見てたんですね。私は、日本や世界の今まで聴いたことのない音楽を彼らを通じて知ることができ、感謝しています。地方に住んでいて、周りにそのような音楽が好きな友人もおらず、今のようにインターネットも普及して情報もほとんどかった時代、彼らが広報してくれなかったら、恐らく知ることはなかったと。

CDも聴いてみまーす。




[2012/10/20 19:05] URL | ベス #- [ 編集 ]

なるほど
コメントありがとうございます。
mixi日記の反応を見ても、当時久保田真琴に影響された人って多かったようですね。
私はちょっと離れた所から冷ややかに見ていたのですが、それは彼の音楽を聞く前に、古典にしろポップスにしろ、オリジナルを先に聴いていたからだと思います。

CDはとてもお薦めですよ。
いつまでも聴いていたい気分になります。
[2012/10/21 12:47] URL | 44ヨシモト #lyVnroUc [ 編集 ]


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