♪おすすめ Blog

カテゴリ

最新コメント

Link

ブックオフオンライン【PC・携帯共通】

このブログをリンクに追加する

プロフィール

おもしろ本棚

Author:おもしろ本棚
読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

検索フォーム

月別アーカイブ

QRコード

QR

おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
「大英博物館 古代エジプト展」

 
古代エジプトでは、人は死後、あるプロセスを経たのちに、永遠の命を得ると信じられていたそうだ。
そのプロセス自体は、三途の川を渡ってあの世へ行き、エンマ様のお裁きしだいではそのまま地獄へとまっさかさま・・・という日本人の「あの世観」とそう大きく変わらない。
ただ彼らの凄いところは、そのプロセスの体系化、つまり、死出の旅をうまく泳ぎ渡るための詳細なマニュアルを、数千年前には作り上げていたということだ。
 
 
 
東京の名所、六本木ヒルズの52階に、今、エジプトで発掘された何体かのミイラとその副葬品が運ばれてきていて『大英博物館 古代エジプト展』(リンク)という展示が行われている。


史上もっとも高いところに運ばれたミイラではないだろうか。 ・・・いや、インカのミイラはそもそももっと高地に住んでいるから、そうとは云えないのか。
しかしそれにしても、赤坂にある私のオフィスの窓からまっすぐ指差したところに、ミイラが居るんですよ。
なかなか現実とは思えません。

『大英博物館 古代エジプト展』という特徴のないタイトルから、どうせ古代エジプトグッズを適当にかき集めて持ってきた漠然たる展示なのだろうと思ってしまい、当初行く気はなかったのだが、BSの山田五郎の番組で取り上げられているのを観て、おいおいなんだよこいつは凄い展示じゃないか、これが一般に知られたらたちまち混んぢまうぞと、お盆で空いていそうな仕事帰りの時間を選んで急遽行ってみた次第。
(上野でツタンカーメン展をやっているようですが、これとは全く別物です。)


素っ気ない展覧会タイトルからは全く伺い知れないが、この展示のテーマは「古代エジプト人の死生観」という、とてもハッキリしたものだった。
展示物であるミイラの入った棺桶や大量のパピルスには、図案や文字(ヒエログリフ)がびっしりと書き込まれている。
これらは、エジプト学者に『死者の書』と名付けられたもので、死後の冥界の旅路をナビゲートするマニュアルのようなもの。
冥界の王への礼拝の作法や、死後の旅で唱える必要のある様々な呪文、その呪文を口にしたり供物を食べられるように死者の口を開ける儀式の手順、再生復活か地獄行きかを決める審判の説明、楽園に到着してからの生活指南・・・。
こうした事柄が、棺桶や、ミイラを包む布などに細かく細かく描き込まれている。
中でも展示の目玉となるものは、紀元前950年頃の「グリーンフィールド・パピルス」という巻物に描かれた37mにわたる『死者の書 で、それが部屋一つを丸々使ってぐるりと展示されているのだ。
パピルスという繊細な植物繊維に描かれた巻物なので、広げたり丸めたりしていては、どんどん傷んでしまう。
そこで大英博物館は、その巻物を、画や文字を分断しないように50cm程度ごとに裁断し、ひとつひとつを額に入れて保存することに決めた。
そして東京のこの展示室の壁に、額がずらりと並んでいるわけだ。
巻物を裁断するというのは厳しい決断だったかもしれないが、結果的に良い選択だったのだと思う。

ヒエログリフは今ではばっちり解読されているため、ここに挿絵とともに書き込まれている大量の文章も読み説かれているわけだが、説明によると、そこには200種類以上の呪文が書かれているという。
さらに、冥界の王オシリス神による審判を前に死者が行う「私は盗みをしていない」「私は人を騙していない」など42の罪状認否項目が明記されているそうだ。
こうしたマニュアル 『死者の書』 を遺体とともに埋葬することで、死者は死後の旅を滞りなく終え、輝ける来世に再生を果たす。


ミイラや棺といった大物と、膨大なパピルスの文書、そして、死体から取り出した内臓をしまう容器やスカラベなどを模ったさまざまな護符、審判の際に使う天秤や、楽園で自分のために働く奴隷としての色鮮やかな人形・・・。
賑やかしのための余計な展示物はまったくといっていいほど無く、必要にして充分、さすが大英博物館というべきなのかもしれないが、ポイントの絞られた良質の展示だった。
週末や日中はどうかわからないが、少なくとも夜の時間帯は、上手く観れば独りで各展示物の前を独占できる程度の混み具合なので、少しでも興味のある方は、六本木ヒルズ見物を兼ねて是非ご覧になるといいと思います。
ただし、展示物保護のためか室温が非常に低いので、長袖を一枚羽織られた方がいいでしょう。


例によって余談。
今年1月に観た絹の巻物『清明上河図』は、その長さ5メートル。
あれをコピーしてトランプにしたてた中国人は、37mのグリーンフィールド・パピルスを知ったら、もう切歯扼腕するだろうな。
そして「人生ゲーム」という文化遺産を所有するニホンジンとしては、こいつを「死後双六」として商品化しない手はないと思ってしまう。
この展示を見ながら、頭の片隅でサイコロを転がすなり、ルーレットを廻すなりして双六遊びを始めた日本人観覧者は、私以外にもきっと大勢いるはずだ。
大英博物館に通う日本オタクは、ニンテンドー様に、こいつの商品化を提案しているだろうか?
あるいは、意外とドイツのゲームメーカーあたりが、すでにテーブルゲームにして販売していたりして。


『大英博物館 古代エジプト展 は、9/17(月)まで。

44ヨシモトのmixi日記
スポンサーサイト

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバック URL
http://marmadays.blog2.fc2.com/tb.php/456-821a14e2
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)