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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『虹の翼 』〈新装版〉
虹の翼 〈新装版〉 (文春文庫)虹の翼 〈新装版〉 (文春文庫)
(2012/06/08)
吉村 昭

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新装版、なんですね。
関東大震災』を読んで以来の吉村昭さん。

この本は、ライト兄弟に先がけて人類初の「飛行器」を開発していたという
一民間人である二宮忠八の波乱万丈な人生を 実録に基づいて描いた小説です。


と、紹介文には書かれているものの。
 
 

実際には、この方は明治期から大正期にかけて
日本の製薬業界の立役者として活躍され、その立身出世談も面白いんです。

・・・

愛媛県の富裕な商家に生まれながら、長兄次兄が身代を潰し、
並はずれて聡明な少年であった忠八は進学の希望叶わず、
早くから子守に出たり、奉公に出たりの苦労を積む。

しかし、彼は工学技術に並々ならぬ関心を持ち、その知的欲求はまず、
独創的な「凧」に具現化されて、町じゅうの人々の人気を集める。

忠八は食いぶちを稼ぐために、測量屋、薬問屋と見習勤めをしながら、
凧づくりの後は独学で飛行技術を研究し、ときに変人扱いされながら
人間が空を飛ぶ可能性を信じて模型製作にまい進する。

やがて忠八は軍人となり、日清戦争の前線で医療現場に携わり、
戦後は軍人生活に見切りをつけ、民間の大手製薬会社に入社して
学歴のなさも 貧しい家の出であることもはねのけて、 
その才と人望で、若くして経営者にまで上り詰める。

軍にあっても、企業戦士として激務にのまれながらも
それでも忠八は「飛行器」を作る夢を諦めきれない。
けれど、己ひとりの力では技術面でも資金面でも限界があると知り、
軍の上層部や権力者に掛け合うも、あっさりと一蹴される。

そんな挫折をよそに、諸外国では着々と飛行技術の開発が進み、
彼らの成功を見て、忠八は人生最大の夢が空しく潰えたことを知る。

・・・

日本がその後、他国に後れて飛行機開発に乗り出したとき、
忠八は関係者に自分の研究成果を上申し、初めてその功績が認められます。
それによって、後世に名を残すことになるわけです。

明治から大正という時期に、何の体系的な知識も持たず、
今の飛行機の基本構造をただ一人で編み出した忠八。
時代も社会も、彼という天才を受け入れるには未熟過ぎたのかもしれません。

しかし、飛ぶ夢にとりつかれた人々は、実験過程で私財を使い果たし、
怪我を負ったり命を落としたりと悲運にまみれる人も少なくありません。

筆者は淡々と事実を創作に織り交ぜながら、良き妻を得て、ひと財産を成し、
成功者となった二宮忠八の人生を描いています。それはそれで
傍目には羨まれるもののように思うのですけどね。

それでも、やっぱり
家族を捨てても 無一文となっても
彼は、
飛行機バカとしての生き方をまっとうしたかっただろうか。
 
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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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