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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
小沼 勝 『わが人生 わが日活ロマンポルノ』
わが人生 わが日活ロマンポルノわが人生 わが日活ロマンポルノ
(2012/05/25)
小沼 勝

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生まれてはじめて見た日活ロマンポルノは、曽根中生監督の「不良少女 野良猫の性春」。

主演の片桐夕子がバカっぽかったことだけは覚えているが、ポルノ映画初体験の思い出は
まったく残っていない。以来、ロマンポルノに幕が引かれる1988年まで、多くの作品を見てきた。
場末の二番館はすえた臭いが館内にあふれ、上映中に席を立つ観客に向かっては、
「しっかりコイて来いよ」の声がかかった。
変な親父に声をかけられたり、体を触られたことも一度や二度ではない。

ところで、本書の著者、小沼勝監督は、巻末の作品リストによると、
つごう47本のロマンポルノのメガホンをとっているのだが、僕が見たものはその中のわずか5本。
それもすべてが、いわゆるSMものである。
このあたり、僕の性癖や嗜好が如実にあらわれているようで実に興味深い
(ただし、苦手の谷ナオミ主演作は1本も見ていない)。


 
さて、『わが人生 わが日活ロマンポルノ』である。

小沼監督は、1937年に小樽で生まれた。
当時の小樽は「北のウォール街」と呼ばれる北海道有数の大都会で、盛り場もにぎわっていた。
小沼監督も小学生の頃から映画館に足繁く通い、上京して日大芸術学部学生になってからは、
それこそ食事代も倹約して新宿の名画座で映画を見続けたという。

フランス映画の圧倒的影響を受けながら卒業し、1961年に日活に入社する。
映画少年・青年にとっては何ともうらやましい人生である。
王道かつ正統派としての映画人生はその後も順調で、入社後は助監督として多くの監督にしごかれ、
名優たちの演技や私生活に圧倒される。撮影所という現場で育てられた最後の世代なのだ。

しかし、転機が訪れる。1971年の日活の方針大変換である。希望退職者を募り、
映画製作のいっさいを中断した日活は、起死回生の一発勝負に打って出る。
それが、ポルノ路線への転換、日活ロマンポルノ・シリーズの誕生である。
このとき、小沼「助」監督は晴れて監督に昇格し、
デビュー作「花芯の誘い」が公開されるのは、その年の12月であった。

本書は、ロマンポルノとともに生きた小沼監督が、創成期の1971年から1988年の終焉まで、
主演女優さんとの思い出や、製作に関するエピソード、
他の監督との交友や別れなどをつづった半自伝的作品である。

ロマンポルノと聞いただけで、ハダカの女の子が股を広げてあえぐ反社会的クズ映画、
みたいな固定観念を持っている「高尚」な映画ファンには読んでもらわなくて結構。
カバー写真の谷ナオミの緊縛シーンに眉をひそめる「インテリ」読書家には
手にとってもらわなくてもかまわない。

作品も見ないで、本も読まないで、先入観や他人からの刷り込みだけで
ものごとを判断してしまうような皆さんは、よいしょ書評家の薦める本を読んでください。
万人に読んでもらおうなんて小沼監督はけっして思っていないはずだ。

本書で描かれた小沼監督や同志たちの生き様は、格好つけて言えば、
「フロンティアの栄光と悲惨」ということになるのだろう。
低予算で撮影期間も限定される厳しい環境。ロケ場所にいたっては、
作品内容を明らかにすると断られること必至なので、偽の台本やタイトルを示しての強行撮影。

何より世間からの白い目に耐える製作者の悲哀。そうした、劣悪な条件下でも、
「セックスシーンが三つ、四つあれば自由に撮っていい」という約束事を逆手にとって、
多くの新人監督が自分の作風を開花させ、後に名作と評価される作品を送り出したこと。

何人もの女優が裸身をさらけ出し、エロスの女神として観客を喜ばせてくれたこと……
これはまぎれもない事実だと思う。

そして、同様に、伊佐山ひろ子がキネマ旬報主演女優賞を受賞した際に、
「ポルノ女優に受賞させるような賞を認めん」と、審査員を辞めた評論家がいたことも、
まぎれもない事実なのだ。

小沼監督は、ロマンポルノ監督時代を振り返り、友と呼べるのは、小原宏裕と田中登の二人。
神にあたるのは、神代辰巳。師匠は、加藤彰。そしてライバルはただ一人、曽根中生、と回想している。
行方不明になっていて最近ようやく生きていたことが判明した曽根監督を除けば、
他の監督はすべて鬼籍に入ってしまった。

小原68歳、田中69歳、神代67歳、加藤67歳。
彼らのロマンポルノも、ときに僕の妄想を膨らませてくれ、ときに爆発寸前のガスを抜いてくれた。
今にして思えば、ロマンポルノをリアルタイムで体験できた世代は、
やはり幸せな世代だったのかもしれない。

でも、結局はポルノを見ていたのは、たとえばこの僕のように、
女の子にもてない、でもやりたい、という妄想だらけの男がほとんどだったのだろうね。


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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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