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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
人生と小説についてしみじみ「母の遺産—新聞小説」
母の遺産

作品を読むのは「本格小説」以来の水村美苗さん。
頭が良くて、ハイソなお育ちで、帰国子女で、
私の中では「下世話じゃないセレブ」の
引き出しに入っている作家です。

今回の作品は老母介護&50代からの老後設計小説と聞き、
そりゃあ、セレブの水村さんのお話は
そのまま参考にはできないだろうけど、
身近に感じられる部分もあるかもしれないわ、
どちらも自分の問題だしね、と手に取りました。

大学の非常勤講師&翻訳業の主人公美津紀が
富豪の家に嫁いだ姉と二人、
難しい性格、奔放な人生ゆえに
ごりごりの確執がある母を看取ったところから
物語は始まります。

更年期の体の不調をなだめすかしながら、
父の介護、看取り、母の介護を、仕事と同時にこなしてきた美津紀。
気がつけば、パリ留学時代に熱列なプロポーズを受けて
一緒になった大学教授の夫は若い愛人を作っていて…。

前半は富豪に落籍された芸者上がりの祖母、
その祖母との陋屋暮らしから這い上がり、
不相応な贅沢を子どもたちに望んだ母、
母に反発しながら大人になり、
「早く死んでほしい」と思いながら
母を介護する姉妹の女三代記です。

後半は一転して、美津紀が介護疲れを癒すために逗留した
箱根のホテルで出会った人々をからめつつ、
自分の気持ちを正面から見つめ直し、
50代以降の人生設計を組み立て直す展開に。

こんだけお金があればね、と思ってしまう部分もあり、
単純に自分とは重ねられない内容ながら、
読んでいるあいだずっと、身につまされまくりました。

まだ本格化はしてないものの、
近い将来の避けられない事態であろう介護問題も、
女として終わりかけても(終わってる?)
まだその後30年はありそうな自分の人生への
気持ち的にも経済的にも呆然とするような思いも
美津紀と共有できました。

ところが、あら不思議、読み終わったら印象が変わったの。
最後に心に残ったのは、小説の力でした。

祖母は新聞に連載された「金色夜叉」を読み、
「お宮」の中に自分を見たと聞いていた美津紀は、
「ボヴァリー夫人」を読みながら箱根のホテルで
現実ときちんと向き合い、大きな決断をします。

小説を読んで、自分の人生変わっちゃった人って
けっこういるんでしょうか。
お宮に影響されて、人生お金じゃないわと純愛に走ったり、
ボヴァリー夫人のせいで、恋がすべてなのねと思い込んだり。

一人ひとりの人生はそれぞれだけど、
小説というのはそれを普遍化しちゃう力があるのかもしれません。

最後に本を閉じたとき、
ほらほら、あなたも美津紀に自分を重ねちゃって…と
作者が笑ってるような気がして、
うわ〜作者の術中にはまったわねと
思ったのは私だけじゃないと思います。

母の遺産―新聞小説母の遺産―新聞小説
(2012/03)
水村 美苗

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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