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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
片岡義男 『さしむかいラブソング―彼女と別な彼の短篇』
さしむかいラブソング―彼女と別な彼の短篇 (ハヤカワ文庫JA―片岡義男コレクション)さしむかいラブソング―彼女と別な彼の短篇 (ハヤカワ文庫JA―片岡義男コレクション)
(2009/05/05)
片岡 義男

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片岡義男コレクションの第二弾は、北上次郎の編による恋愛をテーマにした短編集。
1978年発表の「箱根ターンパイクおいてけぼり」から
1990年発表の「いつもの彼女、別な彼」まで全7編を収める。

どの作品も、いっさいの心象風景、感情表現、心理描写を省いた文章でつらぬかれ、
読んでいて潔いまでに乾ききっている。



片岡義男を意識して読み始めたのはいつの頃からだろうか。

『野性時代』に不規則で掲載されていた短編を、河野典生や河村季里らの掲載作品と
いっしょに読んでいたのを覚えている。淡々と登場人物の外見・風体や行動、
あるいは周囲の情景だけを描いた文章.。加えて、起伏のないストーリー、
カタルシスのかけらも感じられないエンディングに最初は大いにとまどったけれど、
同じ青春小説でもうじうじグズグズの内面描写に終始するものよりは驚くほど自然に受け入れることができた。

きっと、自分にあっていたのだろう。角川書店から立て続けに刊行された、
赤背に白抜きタイトルのスタイリッシュなデザインの文庫本はそのほとんどを購入し、読みつくした。
その後、何度かの引越しや生活形態の変化などを経て、文庫本はきれいさっぱりなくなってしまった。
ちょっと前に早川書房からテーマ別にまとめた全3冊のベスト本が出たので、
懐かしくなって読み始めたわけである。

時代を感じさせる風俗描写や、小道具やディテールの違いなど、
今読み返すと若干の違和感は感じるものの、本書に収録された7編に登場する女性は、その誰もが格好良い。
どう格好良いのかと言うと、美人でスタイルが良くファッショナブルといった外見や、
胸を張って大またで歩く姿はもちろんだが、彼女たちの誰もが自立した女性であるということにつきるだろう。

片岡義男が描く自立とは何か――例えば、「さしむかいラブソング」の村山美紀や、
「人生は野菜スープ」の牧田美恵子。短大生の美紀は家出して売春をやっているし、
美恵子はもっと堂々と「あたし、パン助なの」と言ってみせる。

例えば、「いつもの彼女、別な彼」の牧野千代子と宮沢愛子。
大学からの友人二人は、それぞれの立場から男の日常に微妙な変化を与える。

例えば、「一日の仕事が終わる」の北沢友美。キャリアウーマンの友美は、
京都の雑踏で再会したモト彼の「まっとうしたい」「寝よう」という誘いに応じる。

例えば、「箱根ターンパイクおいてけぼり」の伊東広美。
オートバイ好きな女性教師の広美は、「もらうわよ」の一言で教え子の高校生から
カワサキ650を奪い、ターンパイクを走り去る。

ここで繰り返し描かれる自立した女性像とは、単に経済的に自立しているとか、
キャリアとして男性と対等な関係にあるとか、そういう世間一般が認めるようなできる女性像とは
少し違っている。彼女たちは、あるいは売春婦であったり、あるいは教え子と寝たりと、
優等生どころかモラル的には後ろ指を指されて当然な行為を平然と行なっている。

世の中から糾弾されてしかるべき彼女たちだが、自分の頭で判断し、
自分の責任において行動できること――男性に依存することなく、もちろん媚びることもせず、
スックと立ったその姿勢こそが、真の意味での自立した女性の姿ではないだろうか。
そんな彼女たちに理想の女性像を重ね、憧れていた若い頃の自分を思い出してしまった。
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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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