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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『増大派に告ぐ』
増大派に告ぐ増大派に告ぐ
(2009/11/20)
小田 雅久仁

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・・・今年のベストかも ← キタ。

2年前の、第21回日本ファンタジーノベル大賞作品です。

 
 
舞台は神戸界隈の、荒れた古い巨大な団地です。 
 
主人公は二人。

巨大団地の一角に、アル中の暴力的な父親、
存在感のない母、小学生の弟と暮らす14歳の舜也と、

その昔、父の存在なきまま、母と二人で団地の隅に暮らし、
家を出て、母の死後、ホームレスとなって舞い戻った31歳の健太郎です。

舜也の右頬には大きな傷がある。2年前、
父親に暴力を受けてガラス窓に頭を突っ込んでできた傷です。

健太郎は、いつもラジカセから「船長」の司令が下るのを待っている。
自分が属する「減少派」を迫害する「増大派」と闘う、
そんな妄想に取り付かれた健太郎は、いろんな声を耳にして
団地近くの公園に愛犬アルバートとともに住み着いたのです。

父を憎み抜いて、少年から大人に脱却しようとする舜也。
実の父親の影に支配されて、ついに大人になれなかった健太郎。

それぞれに、深い孤独を抱えたこの二人が出会い、
好奇心と猜疑心によって、結びつく。

どこまでも重く、苦しく、哀しく、底の見えない絶望が
全編に描かれますが、もうどんどん引きずり込まれます。

なぜなら、ものすごい文章力と描写力のある作家だから。
これがデビュー作とは、新人とは、とても思えない才能です。

史上「最凶」という売り文句に、強烈なバイオレンスがあるのかと
身構えるのですが、あえて言えば、静謐な凶悪、でしょうか。
それゆえに、重い。

ラストシーンは賛否分かれるようですが、私は泣けた。
涙はこぼれないけど、胸の奥が引き裂かれるようだった。
救いようのない哀しみが、心の底にじんわりと溜まった。

この小説は、「ファンタジーノベル」というジャンルからは
外れているように思えるけど、こういう作品に大賞を与えるところが
この賞の度量の広さ、なんでしょうねえ。

好みは分かれると思いますが、それでもこの文章に触れるだけで
きりきりと刺激が得られます。計り知れない力のある作品です。

次の作品はまだないみたいだけど、
この方は、純文学に向かうべき人だと思うので、
ぐっと深いものを書いてほしいなあと思います。読みたいです。

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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