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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『翼』
翼 (テーマ競作小説「死様」)翼 (テーマ競作小説「死様」)
(2011/06/18)
白石一文

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愛とは、利己的なもの。

が 結論です。


 
親友に初めて紹介された恋人が、翌日いきなり一人でやってきて
「彼女と別れて君と結婚したい」
と迫ってきたら、どうすればいいのだろうか。

トンデモ男だが、長谷川岳志という男には
「ただしイケメンにかぎる」の法則が発動され、
しかもスーパーエリートの医師としての将来が嘱望されている。

迫られたのは、当時まだ学生だった田宮里江子。しかし里江子は
岳志になびくことなく、親友・聖子と彼の結婚を見守り、二人と疎遠となったまま
独り身を通して10年が過ぎ、35歳のバリキャリ(って死語?)となる。

ところがある日、ひょんなことから二人と再会してしまうのだ。
彼らの間には子どもが二人いて、裕福で円満な家庭が築かれている。

それなのに、昔と変わらぬ情熱で岳志は言う。
「きみと共に生きて、きみと共に死ぬ。僕の人生にはそれしかない」

厄介なのは、これが浮気でなくて「直感」に基づく本気だってこと。
しかも「きみにだってそれはわかってるのに認めようとしないだけだ」
とか言われちゃうんだよ?

とはいえ里江子は倫理観の勝る女である。
他人の不幸の上に成り立つ幸せは存在しない、と。

それでも岳志は言う。
人生は自分自身が幸福になるためにある、と。

・・・・

愛って、まさにこの二つの感情のせめぎ合い、なんだろう。
いま私は、来し方を振り返りつつ、そう思う。

小心者の私は、恋愛に冒険を求めたことはなかった。
素姓の知れぬ人を好きになることはないし、
友人の恋人は「異性」対象からスパっと抜け落ちる。
人間関係がややこしくなることを本能的に回避する、というか。

里江子も、そういうタイプの人間なんだろうね。
ところが里江子の周囲には、価値観の違う男ばかりが現れる。
なんたる不条理。でもそれが人生なんだよね。

直感などをアテにせず、同じように堅実な考えを持つ相手とならば、
今ごろは円満で堅固な家庭を築き、主婦として、堂々たる人生を
送っていたのになあ・・と、これは里江子でなく、自分のハナシ。

まあもちろん、人生の面白さはたいてい不条理からくるものだ。

さらだ氏が見続けてる「胡桃の部屋」では、前回ついに竹下景子演ずる母が、
「お父さんのためにこんなに尽くしてきて、アタシの何がいけないの?」
とキレたという。

同じように聖子が、長年愛した夫の裏切りと親友への恨み辛みを
「大手小町」にでも綴ったら、さぞかし同情のレスがつくだろう。

その気持ちはすごくよくわかる。
ひと昔前なら、私も「そうだそうだ」とナミダを誘われてただろう。

でもね、今は違うの。

相手を信頼し、純情と誠意を捧げてきた「私」のやりきれなさ、
って、ぶつけどころはどこにもないの。
もちろん、婚姻関係にある場合は社会的規範によって守られる
権利はあるけど、それで辛さがなくなるものではない。

尽くした相手から、何の誠意も謝意もないってことを憤っても仕方ない。
それもまた、自分の中の利己的な感情なんです。捨てられる側にもエゴがある。
相手に「してあげた」のではなく、自分が「したかったからしたんだ」ってこと。

子育てと恋愛は、つまり、ヒトの気持ちはどうにもならない、
というのが、半世紀を生きたワタクシの結論です。

殴られれば痣は残るし、殴った相手の手も痛みが少しは残るだろう。
でも心の傷は、どんなに深くても目には見えない。
傷つけられた相手にも痛みを残さない。

理不尽だけど、それが愛です。
愛とは、どこまでも利己的なものなのです。


で、この小説は、さらに重い「愛と死」のテーマがあるの。
生きるとは、死ぬとはどういう概念か。
そして、里江子もまた、新たな心を持つ女に生まれ変わる。

これまた、超利己的な結末なので、賛否両論だろうな。
やはりそれぞれが判断していくしかない。

・・・にしても、白石さんの作品は利己的な愛を描くものが多いw
作家自身が、そういうオトコなんでしょうね。。

決して恋愛相手に選んではいけないタイプ。

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

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