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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『錨を上げよ』
錨を上げよ(上) (100周年書き下ろし)錨を上げよ(上) (100周年書き下ろし)
(2010/11/30)
百田 尚樹

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昭和30年・大阪の貧乏長屋に生まれた4人兄弟の長男、
作田又三の怒涛の青春小説、というか、愛の小説だ~!!

今年のマイベストかも

・・あれ? こないだも言ってた気がする?
いやいや、人間、柔軟性が大事だからね。

ネタばれ、かなりあります。

 
 
ネットで書評を見ると、けっこう賛否両論分かれてるみたいですが、
これは、70~80年代に青春期を過ごした同世代の人間が、
今読んでこそ共感を得る本だと、先に言っておこう。

又三は、小中学生の頃からデキの悪いガキだった。
万引き、カッパライは当たり前、高校では停学を5回食らって留年した。

でも彼は「チンピラ」でも「不良」でも「バカ」でもない。
彼は常に闘ってた。親兄弟と、教師と、世間と、体制と。
そのエネルギーが彼の止まらない衝動となり、
感情の赴くまま、行き当たりばったりの破滅的な人生へと彼を追いやる。

同志社中退、放送作家、作家と重なるプロフィールは、私小説的な部分もあるんだろうか。
この小説は、百田さんがデビュー前に書き溜めてたものがベースらしいので
小説としても未熟で荒削りなとこはある。
1,200枚ものボリュームが必要だったか疑問が残るとこもある。

それでも、この勢い、一本気な又三の激しすぎる半生は、
最後まで私の興味を削ぐことはありませんでした。

学校もシゴトも続かない。それなのに思い立ったら夢中になる。
そんな又三の進路を左右するのは、すべて「女」である。

10代の頃の又三にとっての女は3種類。
「恋する対象」「セックスの対象」「どっちでもない」
恋する対象には、指一本触れられず、
セックスの対象には、それ以外の関心を持てず。

ただただ、自分が愛するものを追い求めてはすべて玉砕する。

こんな男に好かれたら、逃げるだろう。
好かれなければ、惹かれてしまうだろう。
相手にされなければ、なお辛いだろう

やがて大人になった又三は、愛と性が合致したホンモノの恋に出会う。
すべての情熱を女に注ぎ、そしてまたも裏切られ、玉砕し、
何度も何度ものたうち回り、次々と新たな恋に立ち向かう。

恋に破れるたびに彼は生活を捨て、東京に出て職に就いたのもつかの間、
北海道に出て密漁船に乗り、荒稼ぎと無一文を繰り返し、また大阪に戻る。
尋常ではない経験を経て、多くの男たちとも出会い、真の頭の良さと度胸とで
何事も成功させる素地を持っているのに、である。

多くの恋を重ねる又三は、でも決して多情な男ではない。
「あほんだら! 惚れる女は一人に決まってる」
エリート人生を歩みながら、3人の女を弄ぶ弟の竜之介に彼がぶつける台詞である。

その一途さが、彼の人生を突き動かすチカラになり、それとともに
彼を苦しみのどん底に追い詰めることになるのだけど。

人生半ばにして、まだ先の見えない又三だけど、ところどころ人生を達観したような
言葉が並ぶのは、百田さんが今になって手を入れた部分なのかもしれない。
「挫折は人を強くもするが、ある意味でひどくいびつなものにもしてしまう」
「人生を渡っていくにしたがって醜いつぎはぎだらけの心になってしまうのだ」


彼は最愛の女を失って内省する。愛は二人の人間の間にあるもので、
自分がかけがえのない存在と思っていても、相手はそうではなかったと。
「初めて恋した男」と言われた喜びは、それ以上の意味を持つものではないと。

けれど、30を過ぎてもまだ形を成しえない自分の人生に、彼は絶望しない。
生きる価値を認めて、いつも前に向かう。

・・・

はっきりとした上昇志向の人生を求める向きには、
この小説は長すぎて、退屈なのかもしれないなと思う。

けれど、今このトシになって思うことは、
人間なんて、しょせんウダウダで、矛盾だらけで
弱い生き物なんだよね。

若い頃には、成功というカタチを、人生に求めてた。
でも今は、何が成功かわからない。
財力なのか、地位なのか、それとも愛なのか。

人生はカタチなきものだ。
幸せも哀しみも、心の同じところに、自分の中だけにあるもの。

自分の失敗も、人の裏切りも、人智ではどうにもならないことも、
人生の時間とともに何層にも重なっていくもので、
それが人間の深みになり、この先を生きる力になるんだよね。

そんな本質的なことを、しみじみと考えさせてくれた、いい小説でした。

ほ。

錨を上げよ(下) (100周年書き下ろし)錨を上げよ(下) (100周年書き下ろし)
(2010/11/30)
百田 尚樹

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