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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
『刑務所図書館の人びと』
刑務所図書館の人びと―ハーバードを出て司書になった男の日記刑務所図書館の人びと―ハーバードを出て司書になった男の日記
(2011/04)
アヴィ スタインバーグ

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タイトルどおり、ハーバード大学を出て
ボストンの刑務所内にある図書室で働いた著者自身の日記、です。


 
 
私はいま、司書の通信教育を受けているので、
刑務所図書館というものに、ちょっと興味をひかれて手に取った1冊です。

とはいえ、もちろん刑務所で所蔵する目録とか、
受刑者の人気本ランキングとかが記されてるわけではありません。

刑務所における図書室は、受刑者の読書の場であり、
禁制品の交換所であり、カイト(本の間に挟んでおく受刑者どうしの手紙)を
やりとりする場であり、暴動を起こす場ともなる。

彼らに対する図書館員のサービスは、閲覧・書架整理だけでなく、
文章教室やDVDの上映会などの文化活動も含まれます。

敬虔なユダヤ教徒として、ラビに将来を嘱望されていた著者が、
ハーバードを出たあと、死亡記事を書くフリーライターとなり、
保険に入れるからと、安定を求めて就いた司書の仕事は、
身の危険を感じつつも、受刑者一人ひとりの人生と向き合うものでした。

ノンフィクションとはいえ、個人のプライバシーに関わる内容だから、
ある程度は脚色されているのでしょう。

図書館にやってくる受刑者は、いずれも不幸な子ども時代を経て
罪を犯す大人となり、心を病み、更正の希望を抱いて出所しても
すぐに命を落としたり、再び犯罪に手を染めたりと、
切ない人生のレールをなぞってゆく。

一番心に残るのは、女性受刑者のジェシカ。
彼女は文章教室に出席している間、窓の外ばかり見ています。
その理由は、庭で運動する息子の姿を見るためだった。

17で生んだ息子を2歳になったときに捨てたジェシカは、
同じ刑務所の違う棟に、大きくなった息子が入所したことを知って、
彼の運動時間を見計らって、講座に出席していたのでした。

母親失格を自ら認めるジェシカの切ない母性愛。
彼女は出所するとき息子に自分の似顔絵を渡そうとして、
結局それを渡さず、自ら命を絶ってしまう。

小説ではないし、ノンフィクションとしても鋭いまとまりは
ないんですが、まだ自らの生き方も定まらない著者が、
いくつものやるせない人生の無常に触れながら
悪戦苦闘して成長していくさまが感じ取れます。

ワタクシ、ちょっと心がスリムケてたときに読んだので、
余計切なかったのかもしれません。

で、ちょっと気になった点がひとつ。
こうした刑務所図書館は全米で増えているようなんですが、
公共図書館は次々閉鎖されていく傾向にあるとのこと。

無料で本を貸し出す公共図書館のサービスは、アメリカが
先駆的存在です。

日本でも戦後GHQがやってきたとき、給食はもちろん
敗戦国の子どもたちの教育機会を奪わないために、
アメリカ型の公共図書館を、全国の都市部において
無料貸出サービスを普及させようという働きかけがあったのです。

実際、日本で公共図書館が充実するのにはさらに時間がかかりますが、
それでも全国の市区には、必ず図書館が置かれるようになりました。

ところが今や地方自治体の財政難で、どこも維持するのにアップアップ。
人件費、図書購入費の削減だけでは限界があり、かといって
貸出の有料化は、戦後間もなくできた図書館法で禁じられているため、
法の改正という大掛かりなことを行わなければならず、

と、

なかなかキビシイ現状に直面してるのですよ。

電子書籍も普及しつつある昨今、アメリカの公共図書館の今後が
ちょっと気になるワタクシなのでした。

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

コメント
読みました!
私も先週読みました~。
ユダヤ教徒の風習がここまで詳しく書かれているとは知らず、その点も意外な収穫でした。
ちょっと饒舌な作者でしたが、今後どんなものを書いていくんでしょうね。
表紙に使われた写真、とってもステキなのですが、これってゼッタイ刑務所図書室の写真じゃないんですが、日本の版元はどうしてこの写真を選んだんでしょうかね。
[2011/06/19 14:09] URL | ヨシモト #NfnAenvM [ 編集 ]


ユダヤ教徒といえば、フェイ・ケラーマンの「水の戒律」のに始まる
シリーズ作品で、ユダヤ教徒の女性と恋に陥る刑事の物語が浮かびます。
この本を読みながら、それと比べてましたが、
やはりきっちりとした戒律どおりの生活があるらしいなと。

表紙、原書は若い男性の顔なんですね。
やっぱり「図書館」とくれば・・っていう日本のイメージなんだと思う。
[2011/06/20 13:14] URL | ままりん #- [ 編集 ]


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