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読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
泣いた『夢に見れば 死もなつかしや 小説・木歩と声風』。
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福永法弘 著 角川学芸出版


なりはひの 紙魚と契りて はかなさよ

という俳句をあるサイトで読みました。
句の作者「富田木歩」という初めて聞いた名前に
興味を持って、ググってみました。

木歩は明治30年、現在の墨田区向島の生まれ。
1歳の時の高熱が原因で、両足が麻痺し、
生涯歩くことができませんでした。

俳号の「木歩」は自分で作った木の義足に倚るとも
自分は役に立たない「木の歩兵」だという
意味だとも言われています。


気になって調べているうちに
この小説に行き当たり、
まるで、「読んでください」と言わんばかりに、
行きつけの図書館に寄贈された本があることがわかり、
早速手に取りました。
木歩と声風という実在の二人の交流を描いた小説です。


木歩が生まれた当時、家業が鰻屋だったことから
立って歩けず這っている木歩は、
「うなぎの祟り」とからかわれました。

明治40年、洪水が起きて、店と家は大きな被害を受け、
二人の姉は遊郭に売られ、木歩も内職をして家計を助けます。
不自由な体と貧乏のため、学校には通えず、
いろは歌留多やめんこで文字を覚えました。

そんな木歩にさらに次々の不幸が襲います。
再度の洪水、父の死、兄が独立し、
木歩と母と弟妹は叔母の家の居候に。

そんな中、新聞の俳壇に投句して入選を続けた木歩は、
近所の若い職工などを集めて「小梅吟社」の看板をあげます。
そこで、知り合ったのはこの小説のもう一人の主人公新井声風。

木歩とは対照的に金持ちのお坊ちゃんで
体格も良く、性格もまっすぐな声風。
何もかも手にしているような声風ですが、
「文才だけがない」と父に言われていることも知らず
俳句にのめり込み、木歩の俳句と人柄に惚れ込み、
なんとか世に出そうと力を尽くします。

ところが、木歩にはさらに不幸の波が。
親しい先輩の溺死、弟妹、姪の病死に続き
自身も結核に冒されます。

冒頭の句は、のちに声風や姉の旦那の援助を受けて
貸本屋を営むようになった木歩が、
足繁く通ってきていた弟子の伽羅女の死を知って詠んだもの。

木歩は不幸まみれの人生の中でも、多くの人に慕われ、
澄んだ瞳と心のままで、たくさんの句を残し、
1923年、関東大震災で亡くなりました。

でも、単にかわいそうな俳人のかわいそうな人生の話ではありません。
木歩と声風の友情の物語であり、
当時の俳壇の権力争いの話であり、
向島や玉ノ井の街と娼婦の記録だったりもします。

小説のタイトルの句は

夢に見れば 死もなつかしや 冬木風

向島の三囲神社には声風らが奔走して作られた
この句の碑があるそうです。
また、終焉の地の近く枕橋にも別の句碑があるとか。

たまたま句が目に飛び込んできて、
惹きつけられて、この小説に出会えて、
木歩が呼んでくれたように感じました、わたくし。
夏の散歩コースは木歩ゆかりの地と句碑巡りに決定です。


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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

コメント

吉川弘文館から出ている武村雅之『関東大震災を歩く』(2012年)に、富田木歩の碑や被災状況などが詳しく書いてあります。
[2017/06/27 23:24] URL | 天馬トビオ #- [ 編集 ]

情報感謝。
教えていただき、ありがとうございます。
隅田川方面の地理に弱いので、ツアーの友にいたします。
[2017/07/07 14:26] URL | jefy #a7oJ0Vfo [ 編集 ]


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