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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
赤軍女兵士の今を描く『夜の谷を行く』。
yorunotani.jpg
桐野夏生 著 文藝春秋

1972年、連合赤軍リンチ事件。
「山岳アジト付近の土中からまた遺体が発見されました」
というニュースをテレビで観ていた記憶があります。
学生運動も連合赤軍事件も、
わたしにとっては一つ上の世代の出来事でした。

どちらかと言うと若松孝二監督の映画
『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』で観た印象の方が強烈です。

そうは言っても昭和の大事件の一つ。
桐野さんの書いた、40年後の女性兵士の今を
読みたいと思い手に取りました。



60代半ばの目立たないおばちゃん西田啓子は
連合赤軍事件の森や永田と共に山岳アジトで暮らし、
逮捕されて5年あまりの刑期を務めた元女性兵士でした。

彼女の逮捕によって、父親は退職、酒浸りになって病死。
母親も亡くなり、妹は離婚することになり、親戚から絶縁され、と、
家族に大きな傷を残すことになります。

出所後はひたすら目立たないことを心がけ、
学習塾を開いてひっそりと一人で生きてきました。
今は塾も締め、スポーツクラブ通いをしながら
その日その日を静かに暮らしています。

そんなある日、ニュースで収監中の永田洋子の死を知ります。
その死によって、何かが終わったような気持ちでいる時に、
昔の仲間から電話があります。
事件を取材しているルポライターに会ってみないかと。

もちろん、会う気も話をする気もありません、と断るのですが、
その後、かつて結婚していた活動家仲間の元夫と会うことを決心。
何かが彼女の心の中で動き始めます。
ところがその当日、東日本大震災が起こり、
彼女の心はさらに大きく揺さぶられます。

そして…。

永田の死、震災、ルポライターが鍵になり、
頑なに閉ざしていた心を開き、昔の仲間を訪ねる彼女。
かつての仲間たちはそれぞれに事件やお互いについて
違ったことを思って、違ったことを覚えていました。

ラストはちょっとびっくりでした。
(この後、少しネタバレします)






最近、なんとなく、世の中全体で、遠回しながら、
「子どもを持つこと」礼賛傾向を感じます。
『騎士団長殺し』(村上春樹)を読んだ3人の子どもを持つ知人が
「子どもを持つことを買いかぶっている」と感想を言っていたことを
この小説を読んで思い出しました。

この小説も、「子ども産んどけばいいことあるんじゃない」的
見えない圧力を感じたのですが、
わたしがそういうことに過剰反応しているだけ…なのかなあ。



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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

コメント

『夜の谷を行く』は、現時点でのぼくの今年のベスト本。本欄に感想を書き込もうと思っていたところ、先を越されてしまいました。というわけで、コメントの形式でぼくなりの感想などを簡単に。

やはり評価の分かれるポイントは、ラストでのタネ明かしでしょう。それを、長いトンネルを抜けた後にたどり着いた希望の光景と捉えるのか、とりあえずのご都合主義の落とし所と捉えるのか。

「我々は、一線を越えた人間なのだ」と、その記憶だけを体内に残したまま40年以上を生きてきた西田啓子。過去を完全に隠蔽して別人として生きてきた君塚佐紀子。過去の亡霊を引きずって落魄の人生を送る久間…。40年を経た2011年、永田洋子の獄中死と東日本大震災を銃爪のようにしてよみがえる過去からの声、再開。法律に則って罪を償っただけでは、過去の亡霊からは逃れられないのでしょうか。啓子の前に頻繁に現れるクモは、不安、恐怖、絶望といった過去の帰国の暗喩にほかなりません。

啓子たちの世代からほんの2、3年遅く生まれただけで、ぼくにとって一連の連合赤軍事件は歴史の一コマになってしまっています。もう少し早く生まれていれば、啓子たちと共に活動していたかもしれないぼくにできることは、あの時代を勉強し検証し、未来に投影していくことだと思っています。

桐野夏生は、ここのところ、自分の生きてきた時代を扱った作品で新境地を開きつつあるように思われます。同世代で出身大学まで同じ池真理子とは異なったアプローチで描かれる同時代史に、これからも目が離せません。

ちなみに、冒頭で提示したラストに関する評価。ぼくは、あまちゃんとのそしりを受けるかもしれませんが、断然、前者です(感涙)。
[2017/07/22 10:37] URL | 天馬トビオ #- [ 編集 ]


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