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Author:おもしろ本棚
読書会「おもしろ本棚」のメンバーが、思い思いに「本」「映画」「モノ」「コト」を素顔で語ります☆

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おもしろ本棚 Ver.2 <よりみち篇>
「おも本」メンバーが、本・映画・ドラマなどなど、熱く思い入れを語る<よりみち篇>。
李龍徳『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』河出書房新社、2020年


「排外主義者たちの夢は叶った」

冒頭の一文が表わしているように、この時代の日本では、嫌韓政策を前面に押し出してその地位に就いた女性総理大臣のもと、外国人、なかでも在日コリアンに特化した差別や攻撃が続いています。在日狩り、愛国無罪、ヘイトクライムは先鋭化、日常化し、かつてのコリアンタウン新大久保は壊滅的な被害を受け、唯一、大阪の鶴橋のみが要塞都市化して最後の砦となっています。この総理大臣の狡猾なところは、在日コリアンへの攻撃、差別を助長し容認する一方で、同性婚の合法化、選択的夫婦別氏制度の導入など、ほかの人権擁護策を次々と実施し、前者への批判をうやむやにしてしまうところ。

物語は、そんな近未来――それはひょっとしたら来年か、5年先かの、ちょっと先のありうべき「いつか」を舞台に、大衆を目覚めさせ喚起させるための儀式――その実現に向けた地下活動を行う在日コリアン三世の主人公とその仲間たちの行動を描いていきます。
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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

いろんな本が読みたくなる『夢見る帝国図書館』。
bibliotek.jpg
中島京子 著 文藝春秋

作家志望の「わたし」はふとしたことで知り合った
60代の奇抜なファッションの無邪気な女性「喜和子」さんに
帝国図書館の歴史と書いてほしいと頼まれます。

断片的な話しかせずに亡くなった喜和子さんの人生を、
少しずつ「わたし」が集めた断片を加えて再構築いくのが
メインのストーリー。

作中作として、喜和子さんが書いてほしがった
帝国図書館の小説が登場します。
図書館が主人公になってそれぞれの時代の
数多くのエピソードが語られるのです。


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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

赤松利市『アウターライズ』(中央公論新社、2020年)


ぼくにとってこれまでの赤松利市は、作品の内容から「鬼畜系作家」の範疇に入っていましたが、その赤松がまさか鬼畜度を封印し、本書のようなハートウォーミングなヒューマン・ドラマを書くとは! 「大化けしたね、赤松」、というのがまずはじめの感想です。

東日本大震災から10年後、再度、東北地方を襲ったアウターライズ(巨大津波)。それを機に、東北6県は日本からの独立を宣言する――。

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

五木寛之『四季』シリーズ四部作(『四季・奈津子』『四季・波留子』『四季・布由子』『四季・亜紀子』、ポプラ社、2009~10年)


本シリーズの第一作『四季・奈津子』の連載が雑誌『MORE』で始まったのは1977年(!)。そして、最終作『四季・亜紀子』で完結を迎えたのが1994年。実に17年間に渡って書き継がれてきたわけですが、その間に世界と日本を取り巻く環境は大きく変わりました。昭和から平成へと続く日本では、高度成長のカーブはバブル経済でその頂点を迎え、崩壊後は長く先の見えないトンネルに入ったままの不況の連鎖は皆さんご存じのとおり。このような社会状況は、如実にこの『四季』シリーズ四部作に影を落としていると思います。そういう意味でも、このシリーズはまさに時代と伴走した大河ロマンと言えるのではないでしょうか。今回、ぼくが読んだのは、ポプラ文庫版の改訂新版全四冊です。
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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学

アタラクシアはどこに? 『アタラクシア』。
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金原ひとみ 著 集英社

「アタラクシア」という言葉は、
古代ギリシャの哲学者エピクロスが言うところの
心が平静で乱されない状態のことだそうです。

この小説には数人の20代、30代の男女が登場しますが、
その中の誰もかれもがアタラクシアにはほど遠いところにいます

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テーマ:書評 - ジャンル:小説・文学